2019年05月25日

ゑいのためとしてゐをするとなしたり㊲

小池知事「かぶる傘」東京五輪暑さ対策へ試作品発表


 昨日𝟎𝟓月𝟐𝟒日に出ていた話題、一瞥しただけで流していたのだが、外国人が多い時代なので一応触れておこう。「かぶるタイプの傘」とか「かぶる傘」というのはおかしな表現で、「傘」はかぶらないタイプのカサの事を指す。「かぶるタイプのカサ」は日本語で「かさ」とか「被笠かぶりがさ」と言う。「傘」は「差すタイプのカサ」の形状に由来する漢字とされている。被笠とあえて区別したい場合は「差傘さしがさ」と呼ぶ。

かさ
有柄無柄
差傘さしがさ被笠かぶりがさ
雨傘;日傘;唐笠;折り畳み傘など菅笠すげがさ編笠あみがさなど
𝐮𝐦𝐛𝐫𝐞𝐥𝐥𝐚𝐡𝐚𝐭




 それから、男性にも日傘を勧めるという話題に関連して傘は日傘から来ており元々女性が差す物で男性は濡れたまま歩いていたが、初めて英国で杖風の傘を導入して云々……とここ𝟏𝟎𝟎年𝟐𝟎𝟎年くらいの話として解説されているのもちらりと瞥かけたが、きぬがさは紀元前から中国で高貴な人間が使っている。竹編笠も無柄簦として『說文󠄁解字せつもんかいじ』に載っているくらいなので𝟐𝟎𝟎𝟎年以上の歴史がある事になる。無柄簦の反対は有柄簦、つまり差傘の事。『史󠄃記』にも出てくるというのでこちらもやはり𝟐𝟎𝟎𝟎年以上の歴史があるということになる。太陽も雨も世界各地で関係するのだから中国に限らず、また男女問わず似たような道具は昔からあったんじゃないかと思うが。

 簦という字は今では使わないが、『汉典』だと簦の英語解説として「large umbrella with a long handle, used for street stalls」とも書いているので、屋台に使うビーチパラソルのような大型の傘を区別して表現するのには使えるよう。晴雨兼用ではない日傘に繖を使えば、いちいち説明しなくても

繖:日傘
傘:雨傘
笠:被笠
簦:ビーチパラソ𛃻


と𝟏字で使い分けられる。できれば可畳傘かじょうさんにも専用の漢字を作って欲しいが。「傘」に対して同字の「仐」を使えば折りたたみ感が出るだろうか?しかし傘を書くのが面倒臭いので仐は手書き用の略字として取っておきたい。中国の簡体字では「伞」を使うが、それよりさらに𝟐画も省略できる優れ物。

 ちなみに繖は手書きでは[糹サ]と書けば良い。片仮名のサは散の略字由来なので。変体仮名だと𛁁らしいのでおぼえられる人はそれでもいい。私はまだちょっと余裕が無いので[δサ]にしておく。

 また、簦は登の変体仮名である𛁻や𛁺を使えば少し省画できる。𛁻は戦前でもまだ名前に使われており、たまに古い書物に出てくるので知っておいて損は無い変体仮名の一つ。楷書風に捉えるなら[㣺/𠃉]とか[㣺/ع]と認識しておけばおぼえやすい。

posted by Marimó Castellanouveau-Tabasco at 06:05| 東京 ☀| 国語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする