2019年03月11日

外国語教育②

 先日、

ブータン人留学生100人超「だまされた」


という記事を読んだ。留学斡旋会社が、𝟏𝟐𝟎万円払って日本語学校で𝟐年勉強して卒業したら𝟒𝟔𝟎万円まで稼げる仕事を紹介すると宣伝していたが、実際は契約書に日本語能力試験の𝐍𝟐合格が前提になっていてその説明は無かったというお話。

 説明をしていない点で問題なのは間違いないが、一つ気になったのは記事の説明で


>「N2」というハイレベルな日本語を習得しないと仕事は斡旋できないと書かれていたのです。


となっていた点。𝐍𝟐はハイ𛃿ヹ𛃻か?というのが率直な感想。以前本屋で𝐍𝟐より難易度の高い𝐍𝟏の試験問題に全て目を通した事はあるが、印象としては中学水準の日本語だった。もちろん、日本人中学生でもこれできない人はいるだろうなとは思った。長文読解はネッㇳだと「長い。三行で」と言って怒り出したり「解かりづらい」と責任転嫁し始める人も出るだろう。しかし、できたからと言って特段凄いという水準でもなく、中学入試でも上の層ならこなせると思う。

 ネッㇳでも参考例としていくらか問題が公開されている。

日本語能力試験-JLPT/N1


 𝐍𝟏は十分過ぎるというものではなく、日本で生活するのに最低限この程度の読解や聞き取りはできた方が良いという水準に考えておいた方が良い。𝟒𝟔𝟎万を何で稼ぐのかは知らないが、これができても𝟒𝟔𝟎万未満の日本人はゴロゴロしていると思う。正社員だとして賞与𝟑ヶ月が年𝟐回の換算で月収𝟐𝟓万。大手メーカーの院卒初任給程度。民放大手のアナウンサーなら大卒初任給程度(残業代除く)の月収。賞与𝟔ヶ月×𝟐回を考えると総額ではそれより少ない額だし、高卒でも仕事によっては初年度からこれくらいの額をもらえる仕事が無い訳ではないが、一般的に考えれば期待しない方が良い。毎日書類の読み書きをしている霞が関の国家公務員でも非正規なら𝟐𝟎𝟎万程度でさえいるのが現実。

 𝐍𝟏より難易度の低い𝐍𝟐だと小𝟔〜中𝟏水準くらいだろう。英検だと高𝟐で𝟐級、中𝟑で準𝟐級くらいが標準的らしいので、𝐍𝟐だと𝟑級以下になるのかも知れない。中𝟏で英語を始めて𝟐年間で𝟑級を取っている人達がいるならありえない訳ではないのかも知れないが、日本語の場合は漢字の読み書きが初心者ほど大変になるのと、お金を払っていると言っても授業料だけで生活費が支給されるわけではないようなので、働きながらとなると中学生ほど潤沢な時間はないかも知れない。外国人に日本語を学んでもらう上での一般的な目安となる行程表もさまざまな生活環境別に示した方が良いと思う。日本で働いてもらいたいなら。

 ちなみに頭の良い人は何をやってもおぼえは早いらしく、米国のトップクラスの大学で作った日本語学校が今は横浜にあるのだが、そこのカリキュラムをみると、𝟐年間でセンター試験の現代文は普通に解けるだろうという水準が到達目標になっていた。実際は米国の大学で𝟐年くらい日本語の授業を取ってから来日する人が多いらしいので全くの初心者ではないようだが。日本でも中学卒業時点で高𝟏終了とか高校終了といった塾や学校はたくさんあるので話題としては慣れているが、ほんとにこれで漢字おぼえられるの?と思うような進度。私ならまず無理だ(笑) ただ、大人が留学や仕事で短期間に習得を目指すのはともかく、中高生が悪戯に進度を速める事は個人的にはあまり良いとは思えない。この点は長くなったのでちょっと分けてまた別の機会にする。

 最後に以前、ある程度の年齢になった外国人が日本語を学ぶ上でテニオハ、つまり助詞の使い方が難しいという事を耳にしたのだが、それで一つ参考になりそうな事を書いておく。日本人でも英語の前置詞を上手に使いこなすには慣れがいる事を考えればそれは理解できる。日本語の助詞は後置詞の一種とされている。しかしネッㇳ上の書き込みを見ていて、読解力が高いと思えない人や文章があまり上手でないと思える人でも、助詞の使い方で明らかにおかしいと感じる事はめったにない。目に入るのはわざと違った書き方をしているか、明らかな誤入力、そして方言として存在している標準文法的に誤りとなる表現。外国人の書き込みではないか?と疑われる文や機械翻訳を使った読み難さとはまた違う。これはつまり、学力というより経験であり、耳からの記憶が大きいという事なのだろう。なら耳で聴いたり口で発声する量や時間を増やす事が有効だとなる。

 教材は何でもいい。先生や生徒がわざわざお金を出して本や問題集や𝐂𝐃を買う必要は無い。𝐓𝐕でもネッㇳでも手段はいろいろある。以前思ったのは、日本語版のヰキペディアが日本語学習に使えるという点。日本語版ヰキペディアはほとんど日本人しか使っていないにも関わらず項目数が全言語の中でも豊富な部類なので、自分の趣味に合わせて好きな項目を選べば良い。映画でもㇲポーツでも音楽でもアニメでも科学でもファッションでも何でもいい。百科事典としてのヰキペディアには情報や記述法に問題を感じる事はあるが、少なくとも日本語の文章としては、まずもって問題を感じた事が無い。日常会話に比べれば文語的ではあるが、会話のように下手に俗語を覚えて試験や仕事で使えないという事はまずないし、文法的にも変という事は無いから、テニオハの使い方はそのまま真似て構わない。

 内容の読解に際しては母国語版との比較をする事も可能なので、とりあえず母国語版や他の知っている言語版などで内容を理解してから日本語版を読むという手法も項目次第では可能で、しかも簡単。これが市中で本を探す場合よりも圧倒的に有利になる。先生や周囲に訊ける日本人がいる場合でも、情報共有がしやすい。特に先生や知り合いがいる場合は印刷してフリガナを打ってもらってもいいと思う。ある程度漢字をおぼえたら自力で調べれば良い。有志で日本語ヰキペディアにフリガナ追加版を作るというのもアイデアかも知れない。
ラベル:日本語 外国語
posted by Marimó Castellanouveau-Tabasco at 10:05| 東京 ☔| 国語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする