きづな

　𝟎𝟐月𝟐𝟓日にこういう記事を読んだ。

個人崇拝高まるタジキスタン、大統領自身が過剰な賛歌を懸念

　標題の通りだが、新曲に大統領賛歌が多い事に対して大統領が民の努力や国の遺󠄃業；自然に焦点を当ててくれと発言したというお話。自然に焦点を当てるという発想は一つ押さえておいた方が良い。この辺は回教国だが、それ已前からあった自然信仰も残っており、中東の宗教観とは少し感覚が違う。

　個人崇拝に関してはソ連時代の名残もあるが、それ已前から大きな帝国支配があったり族長率いる部族連合があったりではある。なので強権的なものでない習慣的な発想もあるのかも知れない。難しいところではある。そして上下関係の強い組織で急激にそれを解体するとかえって混乱を生んで弱肉強食になり結局別の上下関係に入れ替わるだけという事になったりもする。制度の改革と違って人心の改革は規模が大きければ大きい程、性急にしない方が吉だったりはする。

　それはそうと、この話を読んだ一日前に『𝐑𝐎𝐂𝐊 𝐂𝐈𝐓𝐘（ロッㇰ・スィティ）』という番組で米国のロッㇰ楽団𝐃𝐑𝐄𝐀𝐌 𝐓𝐇𝐄𝐀𝐓𝐄𝐑（ㇳ゙リーㇺ・𛁈ァター）
が特集されていて、その中でギター奏者のジョン・ペㇳルッチが「𝐔𝐧𝐭𝐞𝐭𝐡𝐞𝐫𝐞𝐝 𝐀𝐧𝐠𝐞𝐥（アンテザーㇳ゙・エンジェ𛃻）」という曲を紹介していた。その中で彼は、現代の若い芸術家達が周りからの過剰な批判﹙𢱧判も在れば批難も在ろうから漠然と批判としておく﹚に晒されて萎縮してしまっている環境を憂いていた。それを𝐭𝐞𝐭𝐡𝐞𝐫（テザー）﹙：繫ぎ繩；鎖﹚で繫がれた状態と表現した上での解放を歌ったそう。自分達が若いころはインターネッㇳもたくさんの情報も無かったが、自分達が正しいと信じる事をやれていたという思いがあるらしい。冠国の大統領賛歌の記事を読んでそれを思い出した。



　権力者への崇拝を求めなくなって解放されても結局別の他人からの圧力で束縛されている。特定個人からの暴行が不特定多数からの集団暴行に変わっただけ。これはガキ大将からのイジメがク𛃰ㇲ全体からのイジメに変わり、中心人物がおらず昨日までイジメていた人が次の日からイジメの対象になる事すらあるという近年の学校の様子でも似たところがある。ネッㇳや𝐒𝐍𝐒が原因か？といえばこういった展開は𝐒𝐍𝐒が普及する前から始まっているし、マㇲコミもバッシンㇰ゙という形で散々行ってきている。これは王権の独裁を否定しても複数の大きな勢力で利権を分け合っているだけで構図は変わっていない資本主義でも言える事。結局のところ主体が変わっただけ。芸術でも特定の「天才」を過剰に祭り立てて賛美し、主流から外れる者を否定する流れはあって、何をしても構わない；自由と言ったら今度は他人に迷惑をかけても「芸術だから𝐎𝐊」となり、国家という武力の庇護の下に表現の自由を脅迫していく流れが出て来た上での、非芸術家からの逆襲に現在あるとも言える。

　結局グルグル回っているだけでやっている事は何も新しくない、昔から変わっていないのかな、何事も程々が結局うまく行くってところだろう……というところに落ち着くが、それでは商売として成り立たないので、今日も「新しい」「挑戦」と言って煽り立てて行く日が進んで行く(笑)　と言うより、簡単に煽られる方が問題な気もするが。頭の良い人達から「馬鹿を争わせて金と権力を巻き上げるのはチョロいもんだな」と思われていても不思議ではない。

　昔の人類と明らかに変わっている点では先進国程一人っ子が増えているという点がある。同じような学歴；地位；経済力；身分の家庭の同じような能力の子供が同じ人数揃っても、現代の方が明らかに兄弟姉妹の数は少なく一人っ子が多いんじゃないかと思うが、この点がどの程度影響しているのか？という点は興味深い。

　なお、𝐭𝐞𝐭𝐡𝐞𝐫は単なる繩紐ではなく、牛馬を繫ぎ留めておく為の繩や鎖の事を意味する英語だが、これにはそのものズバリな「絆」という漢字が存在する。