2019年01月30日

ゑいのためとしてゐをするとなしたり㉚/表記:外国語の店舗名:商品名:企業名

 苗字の話題が記事や番組で特集される事は時々あるが、珍しい苗字を扱ってもたいていは明治初期以前からあるもので、比較的最近の帰化系姓氏に関してはなぜか扱われない不思議がある。英国で𝐖𝐢𝐥𝐥𝐢𝐚𝐦𝐬は珍しくなくても、もし日本に帰化してウィリアムズと名乗れば、日本の中ではかなり珍しい苗字になるだろう。個人的にすぐに思い当たるのは辺銀ぺんぎん姓の人が紹介されていたくらい。

 最近、プロ野球チーム横浜𝐃𝐍𝐀ベイスターズの監督を務めるアレックス・ラミレス監督が日本に帰化したと話題になっていた。帰化が認められると官報に掲載されるので先日確認してみたが、確かに「ラミレス・カプリレス・アレクサンダー・ラモン」とあった。どこまでが苗字でどこから名前なのか判かり辛い(笑) ヰキペディアではRamírez Quiñónezラミレス﹦キニョーネスになっているので、ラミレスが苗字でカプリレス・アレクサンダー・ラモンが名前なのだろう。スペイン系は父方と母方の姓氏を併記する事がある。

 スペイン語圏でRamírezは珍しい苗字ではないが、日本でラミレスはそう多くないだろう。日本の定住外国人の中では朝鮮系;中国系;ブラジル系とならんで南米スペイン語圏も多いので、帰化している人もそれなりにいようが、まだまだ珍姓のうちに入ると思う。将来的にどうなるかはわからないが。人口減少と移民拡大を考えれば将来的に鈴木や佐籐とて珍姓化する可能性は大いにある。漢字姓が無くなるかはなんともわからない。ある程度カタカナ姓氏が増えた時、反動的に漢字姓を名乗るのが流行る可能性もあるので。現状では日本人より帰化人の方が自由に名前を登録できる上に、定住外国人が登録に使える漢字の種類が日本生まれの𝟒倍以上ある。どう考えても法の下の平等を定めた憲法に違反していると思うのだが、知られていないのか裁判になったという話も聞かない。日本国籍の命名でも漢字制限よりは表現の自由を重視する判決が出ているので将来的には拡大するかも知れないが、しかし実用を考えると常用漢字や人名漢字が増え過ぎるのは無理が出てくる点を考えれば、制限を考えた方が良いようには感じる。

 ちなみにラミレス監督の帰化が認められた旨を告知する官報には他にこういった姓氏が出ていた。


金、鄭、崔、葉、李、呂、梁、張、呉、朴、韓、宣、孫、姜、范、許


 以前から日本でも割といる中国;朝鮮系の姓氏だったり、字形として難しいものではないが、范は珍しいと思う。範の簡体字として使われているものだが、簡化字導入で范になった人なのか昔から范だったのかはわからない。いずれにせよ日本人には馴染みの無い漢字だろう。馴染みが無くても日本人になった以上、他の日本人も読んだり書いたりする必要が出てくる事になる。それどころか外国人労働者を受け入れるという事は、帰化していなくても、今まで目にしたことのない苗字や漢字を学校や職場で目にすることになる。それも短期間で大量;一気に増えることになる。カタカナで書くと今度は同姓や同名が何人も出てくる事になるかも知れない。報道では「外国人労働者」と言っているが、実質は「中国人労働者+α」だと思っておいた方が良い。中国の苗字や名前は制限が無いのか、通常の文章では目にしないような漢字が山ほど出てくる。官報にもヒンキンという漢字を使っている人がいた。歌手の一青窈ひととようさんの窈の字も、日本では通常使わないので初めて目にした人も多かろう。一青姓も珍しいが。石川県能登部南域鹿島かしま中能登なかのと一青ひととという地名がある。しかも日本では姓氏でよく使う漢字と名前でよく使う漢字がある程度分れているが、中国ではどちらにでも使う漢字も多い。先ほど触れた范/範の字もどちらにも使われる。

 もちろん、漢字文化圏外の苗字も増えるのでヴャチェスラボヴィッチやサタルベコウナといった名前も「日本人のお名前」として扱うことになる。これらも官報で帰化が認められていた人の名前。

 ところでこの官報の宣告はどういう順序になっているのか気になる。先ほどのラミレス監督の場合は官報でもラミレス・カプリレス・アレクサンダー・ラモンと書かれていた。苗字が先に書いてある。漢字姓の人も皆苗字が先になっている。しかしローズヴィー・カルンパン・ヤマダとかメリー・ジェイ・ヘロニモ・ハラといった日系移民の子孫の帰化と思われる事例も出ている。この表記で。先ほどの例からすると、この人達の苗字はローズヴィーやメリーという事になる。常識的に考えればヤマダやハラが苗字だろう。一体どういう事なのだろう?官報の掲載の仕方がいいかげんで姓名の順序と名姓の順序が混在しているのだろうか?それとも申請した人達が母国の慣習で間違って姓氏の欄に名前を、名前の欄に姓氏を書いてしまったのだろうか?あるいは帰化した際の名前ではなく、帰化する前の外国人登録の名前を転載しているだけで、様式が混在しているのだろうか?よく解らない。

 私のブ𛄂グを見て「けったいな表記使う奴やなぁ」と思った人、言っている間に日本のあちこちで見たこともない漢字やカタカナやラテン文字の表記が溢れる事になる可能性が大いにあるので、覚悟しておいた方が良い。漢字検定一級なんて何の役にも立たない事になる。

 実は已前から似たような事は多少起きていて、例えば経済;𝐈𝐓;行政;報道関係では英語を和風発音にしてからカタカナに直した状態で使用することを好む。意味が解らないと感じている人が多い調査結果も出ているが、カタカナや英語に慣れてしまい日本語力が落ちている人も少なからずいるので、今度は訳語が難しく感じたり造語力が低く無駄に長くて分かりづらくなったりとどっちつかずで効率が悪くなってきている。さらに、正式名称とは別に愛称なるものまで作り始めて混乱を助長している。最近もある交通情報系サイㇳは「万葉まほろば線」と表記し、別の交通情報系サイㇳは「桜井線」と書いていた。調べてみたらどちらも同じ路線だった。

 服飾;飲食;デザイン関係では商品名や店舗名にフランス語やイターリア語が頻繁に使われる。普段何気なく目にしたり口にしたりしているが、実際にフランス語やイターリア語を読み書きできる人は日本に多くない。ラテン文字で書かれると読めない;書けないという事になっても不思議ではない。先ほどのキニョーネスはスペイン語系だが、カタカナで書かれれば読めても、書類にQuiñónezと書かれていたら戸惑う人の方が多いと思う。実際に仕事の現場ではお店や会社の名前が読めなくて人に訊くという事もあったりするし、間違えて先方の機嫌を損ねたりという事も出てくる。逆に読めない人が多いのか、正しく読むと意外と喜んでくれる事もあったりする。接客業でも旅行者は増えているので名簿を一覧する機会は出てくる。名前のつづりと読み方はしっかり押さえておく必要があるし、わからない時は間違えないように最初の段階でよく確認しておく必要がある。自分は外国で働く気はない;外国人と仕事するつもりは無いと思っていても、全くもって日本的な企業;業界の中でさえ必要になるか、知ってて損がない場合があって、英語以上に重要なこともある。なので会話ができなくても構わないので、余裕があれば名前や地名や商品名くらいは原語のつづりにも子供のうちから慣れておくのは悪いことじゃないと感じる。身のまわりの看板や広告や商品の包装などにもけっこう英語以外のさまざまな言語が溢れている。
posted by Marimó Castellanouveau-Tabasco at 17:42| 東京 ☀| 外国語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする