2019年01月18日

表記:ルパン﹫平成卅一年己亥歳丙寅月乙卯日

 元日に使った歌詞の続き。

 本来は𝟏𝟐月𝟐𝟓日にでもㇰリㇲマㇲに絡めて話題にしようと思っていたが、𝐎𝐒の改版アップデート作業でいろいろ有ってできなかった。今日は『ルパン三世』が𝐓𝐕で放映されるらしいのでちょうど良い機会という事で。

 「🎍謹賀新年 平成卅一年己亥歳丙寅月戊戌日正午🎍」で書いたのは替え歌の歌詞。毎年お歳暮の時期になると親戚から蜜柑が届くので、そのたびにこの歌を思い出す。原詞は🍊をルパンに替えるだけ。細々と散りばめられている記号に関しては音曲の様子について表現してあるだけなので歌という意味では無視して構わない。結果、使われているのは🍊改め「ルパン」と、「𝐭𝐡𝐞 𝐭𝐡𝐢𝐫𝐝」と、「ダバ」だけとなる。これらの繰り返し。歌詞とも言えない、ただの番組タイトルの反復にちょこっとハミングに近い表現を挟んだだけになる。番組タイトルは『ルパン三世』。

 楽曲名としては「ルパン三世主題歌Ⅰ」(ルパン三世その𝟏)だが、現代のようにきちんと管理されていた時代ではなかったらしく、音源は行方不明で楽曲名も正式にあったわけではなく、ずっとあとになってから曲集を出す際に仮付けされた程度のものらしい。作詞者も東京ムービー企画部名義で誰かは不明。やっつけでそもそも「作詞」という行為を行ったのか、あるいは意図的にこういった雰囲気を狙ったのかよくわからない。作曲は山下毅雄さんという人らしいが私は知らない名前。歌手はチャーリー・コーセイさんという人でやはり私は今回調べて初めて知った名前。

「ルパン三世主題歌Ⅰ」(ルパン三世その𝟏)


 私は小𝟑〜小𝟔までのいずれかの時期に𝐓𝐕の再放送で第一期の『ルパン三世』も観てあってこの歌も耳にしているが、具体的な年はおぼえていない。今回調べて驚かされたのは、最初の数話と他𝟏回しかこの歌が流されていなかったという点。そのわりにはっきりと記憶していた。今回音源を聴いたのは当時以来だったが、基本的な旋律や大枠の特徴は記憶通りだった。歌の雰囲気は思っていたのと少し違ったが。これほど英語然とした発音で歌っていたとは思わなかった。当時𝐭𝐡𝐞 𝐭𝐡𝐢𝐫𝐝の部分は言葉だとは思っていなくて「フ~ゥ」とハミングで流しているだけだと思っていた。𝐭𝐡𝐞 𝐭𝐡𝐢𝐫𝐝だと知ったのは高校のころ何かの話題で出たさい、友達に教えてもらった時。なので小学生当時私の中での歌詞は「ルパン」と「ダバダバ」しか無かった事になる。これが当時の私にとってはけっこう衝撃的で、「このような歌詞とも言えない名前の繰り返しで歌が成立してもいいのか?」という驚きがあった。ハミングで歌うという事は学校の音楽の時間にもあったが、それは元の歌があった上で意図的に歌詞を歌わないか、あるいはそもそも歌詞の付いていない器楽曲を声に出して歌うという変則的な作業だったので感覚的には全く違う。恐らくそれまで聞いて来た歌の中では初めての経験だったと思う。それでも印象に残して記憶にも残しているわけで、一生懸命思いだの共感だの売れる内容だのを考えたり表現しようとしている作詞家などの苦労は一体何なんだろう?とも思わせてくれる(笑) 私は替え歌を除けば作詞をした事は無いし歌手;詩人;作詞家などになろうと考えた事も無いが、もしそういった努力をしたあとでこの歌に出会ったら気が抜けそうな感じもする。

 ところでこの楽曲、一応「英語の歌」とは言える。「𝐭𝐡𝐞 𝐭𝐡𝐢𝐫𝐝」は「三世」の事なので、「ルパン三世」を英語で「𝐋𝐮𝐩𝐢𝐧 𝐭𝐡𝐞 𝐓𝐡𝐢𝐝」と歌っている事になる。歌っている人の発音もカタカナ日本語というよりは本格的な英語の発音。日本生まれ日本育ちの朝鮮&米国系ハーフの人らしい。恐らくカタカナ英語で歌うこともできたのだろうが、英語を意識した歌い方が採用された事で、奇麗な𝐓𝐇﹙已下、Þ﹚や𝐃等の子音が聞こえる。今回この曲を聴いて感じたのは、単に懐かしいというよりこの点だった。つまり、
「これ、内容が単純かつ短いのでおぼえやすい一方、日本人にとって英語を聞いたり話したりする際に障碍となる子音の発音がたくさん出てくる上に何度も繰り返されるので、聴音;発音の練習には物凄く適している楽曲じゃないのか?」

と。「ルパン[ɾɯpann]」ではなく「𛃻パン[lpan]」、「ザ・サード[za saːdo]」ではなく「𛀾・𛀾ードゥ[ðə θrd]」。[l]と[r]の発音、Þの有声[ð]と無声の[θ]、子音単独の[d]。全て日本語と英語で発音が異なる。この違いに慣れておく、聴いても喋っても違和感を感じない「ふつう」の状態にしておくだけでも聴音や発音は隨分変わってくる。[d]ができれば[t]にも応用ができるし、子音単独で発音するというのがどういう事かがつかめる。歌では強調されていないが破裂音の[p]も意識的に強調すればさらに[b]の発音にもひろがるだろう。英単語をおぼえさせたり何らかの会話をさせたりする已前に、園児;児童にこの歌を、この歌の歌い方の通りに歌わせておいたら、その時英語が話せなくてもあとあと役に立つ。別に親や先生が英語を話せなくても𝐂𝐃を流して、そっくりに発音できているかを比べる事くらいはできるだろう。うまく歌えたら褒めてあげれば良いだけ、一度歌えるようになったら定期的に歌う機会を作って記憶に定着させておけば良いだけ。簡単な事。園児〜児童くらいならすぐ歌えるようになるし楽しんでくれるだろう。そのあとすっかり忘れても構わない。そういう時期におぼえたものは大人になってから思い出してもすんなりできるし、何より特別な事をしているような意識が無く心理的障碍にならない、「ふつう」の感覚でできる。𝐂𝐃も出ているようなので、明日からでもお勧め。


 ちなみに「ルパン三世その𝟑」という曲もあるが、ここでの[ルㇽㇽㇽㇽパン]というのは𝐋ではなく顫音せんおん𝐑に近い発音になっている。アニメで銭形ぜにがた警部が「ルパ~ン」と言っているシーンでもしばしば巻舌の𝐑が明確に出ている。本来の発音は𝐋なので、極端な言い回しの違いでもって𝐋と𝐑の比較ができるのも便利な点。

 なお、つづりに関しては𝐋𝐮𝐩𝐢𝐧なので英語読みだと本当は[lúːpin]かも知れない。𛃻ーピン。そして仏国系の名前だという点で言えばリュペン[lypɛ̃]の方が素直かも知れない。𝐮を[y]と発音したり、𝐢を[ə | e]で発音したりする事はフランス語に限らず起こる事があるので、こういった話は応用編としても使える。たった𝟏分半ほど、エンジン音を抜けば𝟕𝟎秒ほどしかない短い歌だが、随分と応用範囲が広い良作。

 ただ、この曲はある意味難曲でもある。発音はともかくメロディーを暗唱しようと思うと、歌詞は同じなのに音高や上下の仕方が意外と変化していて、どこでどういう歌い方をしているのかおぼえるのが大変。楽譜か音源が欲しくなる。そこで簡易的に記号を付けてみたのが「🎍謹賀新年 平成卅一年己亥歳丙寅月戊戌日正午🎍」の記述なのだが、これでも完璧ではない。適した記号が無かったのと、繰り返して聴いていると訳がわからなくなってくるので(笑) 発音を覚えるとかテキトーに口ずさんで楽しむのではなく正確に歌いたいのであれば、記憶力の良い人已外は一度楽譜に落とす事をお勧めする。
posted by Marimó Castellanouveau-Tabasco at 20:27| 東京 ☀| 外国語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする