2018年09月14日

スーパー台風と𝐒𝐮𝐩𝐞𝐫 𝐓𝐲𝐩𝐡𝐨𝐨𝐧

台風②」で、最悪な条件の下台風が東京湾を通過する際の浸水被害想定の話題をしたが、あの時の設定勢力は中心気圧が𝟗𝟏𝟎ヘクトパスカルだった。今フィリピン東方沖を西進中の大型で猛烈な台風𝟏𝟖𝟐𝟐号มังคุดマンクットはそれより低い𝟗𝟎𝟓ヘクトパスカル。このままの勢力を維持して今晩フィリピン呂宋島ルソンとうへ上陸する見込みらしい。東京湾での被害想定は速度も𝟕𝟑㎞/時とかなり速く勢いが付いている前提で、それに比べれば今回は𝟐𝟎㎞∕時とゆっくりだが、その分気圧が低く暴風雨の時間が長い事になる。

 その「猛烈な台風」というのは勢力の強さを表す表現で最も高い部類に入る。一つ下は「非常に強い台風」。これだけで十分だが、数年前からテレヴィのニュースでは「スーパー台風」という言葉を使い始めた。既にある表現と同じなのにわざわざ別の言葉を作り出してわかりにくくさせる;混乱させるというのはこれに限った事ではないが、今回もその言葉を持ち出していた。𝟏𝟗時のニュースで「スーパー台風に匹敵する」という表現で。「スーパー台風」ではなく「スーパー台風に匹敵する」というさらに新しい区別を作り出したいらしい。

 「スーパー台風」という言葉は台風𝟏𝟔𝟏𝟎号𝐋𝐢𝐨𝐧 𝐑𝐨𝐜𝐤ライオンロックが日本に来たさい、急に使われ始めた言葉。しかし具体的な定義は聞いた事が無い。詳細に調査した訳じゃないが、当時見ていた範囲では、𝐍𝐇𝐊版スーパー台風の定義はどうも中心気圧が𝟗𝟎𝟎ヘクトパスカル程度で中心付近の最大風速が𝟔𝟎㎧以上の事を言うらしい事が判った。今回「匹敵」としているのは𝟗𝟎𝟓ヘクトパスカル;𝟓𝟓㎧だから𝐍𝐇𝐊としてはスーパー台風に近いもののスーパー台風ではないという判断をした結果なのだろう。ちなみに当時のテレビ朝日版スーパー台風は中心付近の最大風速𝟔𝟓㎧以上の事を言っていたらしい。他の局ははっきりしなかった。

 報道番組は細かい制約のある保守的な現場なので、急に新しい用語を自信をもって使う時はたいてい権力や権威を背景にした虎の威をきつねだと思っておいて構わない。特に大好きなのが欧米がどう言っているか?例に漏れずスーパー台風もアメリカのメディアが言っていたのが語源と思われる。英語は日本語に比べると語彙が貧弱なのでそれほど細かい言い分けはしない。日本では女子高生が流行語としてかつてチョーと言い出したように、英語では学術用語でさえちょっと凄い物は何でも𝐬𝐮𝐩𝐞𝐫スーパーと付ける。ラテン語由来の言葉。𝐬𝐮𝐩𝐞𝐫スーパーに飽きるかそれでも足りないとギリシャ語由来の𝐡𝐲𝐩𝐞𝐫ハイパーが出てくる。日本で一時期流行った「チョベリ」という程度を表す修飾語に相当する。𝐭𝐲𝐩𝐡𝐨𝐨𝐧タイフーンでも同じ。𝐒𝐮𝐩𝐞𝐫 𝐓𝐲𝐩𝐡𝐨𝐨𝐧スーパー・タイフーンという格付けがある。しかし日本の報道番組とは違った明確な定義があるようで、調べてみると𝟓𝟏․𝟒〜𝟔𝟏․𝟔㎧≒𝟏𝟎𝟎〜𝟏𝟏𝟗ノットだった。𝟏𝟐𝟎ノット以上は𝐡𝐲𝐩𝐞𝐫 𝐭𝐲𝐩𝐡𝐨𝐨𝐧ハイパー・タイフーンになる。メートル法の風速にして𝟔𝟐㎧ほど。日本で言う所の猛烈な台風に相当する。日本で「ハイパー台風」という言葉は使われていない。テレビ朝日ではスーパー台風の部類だし、𝐍𝐇𝐊でもこれはスーパー台風になるのだろう。

 𝐡𝐲𝐩𝐞𝐫 𝐭𝐲𝐩𝐡𝐨𝐨𝐧ハイパー・タイフーンはともかく、𝐒𝐮𝐩𝐞𝐫 𝐓𝐲𝐩𝐡𝐨𝐨𝐧スーパー・タイフーンより下は日本と境が違うのでややこしい。𝐒𝐮𝐩𝐞𝐫 𝐓𝐲𝐩𝐡𝐨𝐨𝐧スーパー・タイフーンはおよそ𝟓𝟏․𝟒〜𝟔𝟏․𝟔㎧で気象庁の表現では𝟓𝟒㎧未満が「非常に強い台風」、𝟓𝟒㎧以上は「猛烈な台風」に属する。つまり、現在の猛烈な台風มังคุดマンクットは𝐍𝐇𝐊的には「スーパー台風に匹敵する台風」だが、アメリカ的には𝐒𝐮𝐩𝐞𝐫 𝐓𝐲𝐩𝐡𝐨𝐨𝐧スーパー・タイフーンになる。中心気圧で言えば、𝟗𝟐𝟎ヘクトパスカルくらいになるともう風速𝟓𝟓㎧に達しているので、𝐍𝐇𝐊版スーパー台風とは印象が異なる。簡単に書いただけでもこれだけ数字が踊って変換が面倒なのに、さらに独自の表現を加える必然性が今一つよく解らない。

 ちなみに𝐒𝐮𝐩𝐞𝐫 𝐓𝐲𝐩𝐡𝐨𝐨𝐧スーパー・タイフーンの下は𝐒𝐞𝐯𝐞𝐫𝐞 𝐓𝐲𝐩𝐡𝐨𝐨𝐧スィヴィア・タイフーンで、その下は単に𝐓𝐲𝐩𝐡𝐨𝐨𝐧タイフーンらしい。𝐈𝐓業界では一時期𝐇𝐲𝐩𝐞𝐫𝐭𝐞𝐱𝐭ハイパーテキストとか𝐇𝐲𝐩𝐞𝐫 𝐋𝐢𝐧𝐤ハイパー・リンク𝐇𝐲𝐩𝐞𝐫ハイパーを使うのが流行った事があったが、その後の流行も採り入れると
𝟏𝟑𝟎㌩以上で𝐓𝐲𝐩𝐡𝐨𝐨𝐧 𝟐․𝟎タイフーン・にぃてんゼロ、𝟏𝟒𝟎㌩以上で𝐢𝐓𝐲𝐩𝐡𝐨𝐨𝐧アイ・タイフーン、 𝟏𝟓𝟎㌩以上で𝐂𝐥𝐨𝐮𝐝 𝐓𝐲𝐩𝐡𝐨𝐨𝐧クラウド・タイフーン、𝟏𝟔𝟎㌩以上で𝐒𝐦𝐚𝐫𝐭 𝐓𝐲𝐩𝐡𝐨𝐨𝐧スマート・タイフーン、 𝟏𝟕𝟎㌩以上で𝐈𝐧𝐭𝐞𝐫𝐧𝐞𝐭 𝐨𝐟 𝐓𝐲𝐩𝐡𝐨𝐨𝐧インターネット・オブ・タイフーンってとこか(笑)


と已前、日記に冗談を書いた事がある。最後の𝐈𝐧𝐭𝐞𝐫𝐧𝐞𝐭 𝐨𝐟 𝐓𝐲𝐩𝐡𝐨𝐨𝐧インターネット・オブ・タイフーン𝐈𝐧𝐭𝐞𝐫𝐧𝐞𝐭 𝐨𝐟 𝐓𝐡𝐢𝐧𝐠𝐬インターネット・オブ・シ[θi]ングズを元にした物だが、今日ちょうどひろまらなかった類義語を紹介している記事に出会った。𝐈𝐨𝐓アイオウティーは言い換えると𝐔𝐛𝐢𝐪𝐮𝐢𝐭𝐨𝐮𝐬 𝐂𝐨𝐦𝐩𝐮𝐭𝐢𝐧𝐠ユビキタス・コンピューティング𝐂𝐚𝐥𝐦 𝐂𝐨𝐦𝐩𝐮𝐭𝐢𝐧𝐠カーム・コンピューティング
𝐏𝐞𝐫𝐯𝐚𝐬𝐢𝐯𝐞 𝐂𝐨𝐦𝐩𝐮𝐭𝐢𝐧𝐠パーヴェイスィヴ・コンピューティング;𝐌𝟐𝐌;𝐎𝟐𝐎;𝐂𝐏𝐒;𝐇𝐅𝐃𝐒でもあるそうな。お好きなのをどうぞ。

 個人的には台風の格付けもネットの方も、長ったるい;打ち難い;見難い;わかり難いという事でもっと単純化して結局どれも使っていない。
posted by Marimó Castellanouveau-Tabasco at 23:58| 理科 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする