2018年04月13日

ゑいのためとしてゐをするとなしたり⑦

 使う予定の写真を探していた途中でみつけた写真その𝟐。

 已前、「ゑいのためとしてゐをするとなしたり⑤」で話題にした藤堂式と下村式の漢字の本、𝟐𝟎𝟏𝟐年﹦平成𝟐𝟒年に私的な日記での話題に際して写真を撮ってあった。

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 藤堂明保;黒須重彦;加納善光、『藤堂方式 小学生の漢字はかせ おぼえやすい漢字の辞典 𝟒・𝟓・𝟔年用』、学燈社。検索したところ、アマゾンに情報が出ていて、𝟏𝟗𝟖𝟎年﹦昭和𝟓𝟓年𝟎𝟖月𝟏𝟎日発行のよう。カヴァーはもう無いが、アマゾンにはカヴァーの写真も出ている。

小学生の漢字はかせ 藤堂方式 4・5・6年用 単行本(ソフトカバー)


 それから、下村式の漢字辞典。これは学校でプリントを配ってくれていた話を書いたが、そのコピー元が学級文庫として教室に置いてあって、気に入っていたので同じものを買ってもらった。

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 中身はこういったもの。

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 已前も話題にしたように、音訓;成り立ち;書き順;字の構成が書かれている。まぁ、普通の漢和辞典。振仮名があったり𝟐色だったり、ところどころにイラストがあったり語彙ごいがそれほど難しくなかったりといった点が特徴。昔は大人向けと子供向けが割とはっきり分かれていたので、こういう子供用に特化した詳しい漢和辞典は珍しい。今の「大人向け」は子供向けに近づいて差異があまり無い辞書や解説書も増えているし、そもそも漢和辞典を全く使わない人の方が多いかも知れないが。

 オマケでこんな物もたまに在る。

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 中でも個人的に影響が大きかったのはこれ。

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 𝟒𝟒画のギョウと𝟔𝟒画の𪚥テツはこれで知った。同時に、漢字を画数の大小で見比べるという視点もこれで知った。それまでは画数に関心を持った事が無かった。小学校での𝟐𝟎画「競」「議」、中学校での𝟐𝟑画「襲」「鑑」も触れている。日用では𝟐𝟖画「鸚」;𝟐𝟗画「鬱」;𝟑𝟎画「鸞」を紹介している。たしかに日常生活で目にしないこともないが、読めれば書けなくてもいいだろう。オウム;うつで十分。親鸞は書く機会がなかなか無い。

 ただ、親鸞は高校日本史で出て来る。中学の歴史でも教科書レベルで出て来るのかは知らないが、私は中学でも学校で習った。画数は多いが、冠部が「龻」、脚部が「鳥」、龻は「糸」と「言」と「糸」なので、「糸」「言」「鳥」という小学校で習う基本漢字が頭に入っていれば難しくはない。またそのうち話題にするが、「龻」はこれで𝟏セットとして使うことがあるというのは余裕があれば知っておいたら良い。恋;変;弯;湾の旧字などで使う。「亦」と略されることが多い。音はレンとランが比較的多いが、変;弯のようにヘン;ワン等もある。[−𝐧]で終わるのがほとんど。

 鸚も「嬰」「鳥」から成り、嬰は「賏」「女」から成り、賏は「貝」が𝟐つなので、これも小学生の基本漢字でできているが、嬰は桜の旧字などで使われる字形なので、知っておいて損は無い。孺子嬰ジュシエイ晏嬰アンエイなど、名前としても出て来るので高校世界史で習う場合がある。

 鬱は難しい漢字としてわりとよく知られているので、面白がっておぼえる人もいると思う。私も小𝟔の時におぼえたが使う機会が無かった。今では鬱病という言葉も当時より耳にする機会は多いと思う。ただ、通常は「うつ病」と書かれる。字形としては冠部が[木缶木]、脚部が[冖/(鬯彡)]で、「木」「缶」「冖」「鬯」「彡」の集合になる。このうち小学校で習うのは木;冖;彡で、缶;鬯は習わない。鬯に関しては日常的な範囲では他に使用例がちょっと思い浮かばないくらい、マイナーな漢字であるが、「においざけ」という部首の𝟏つなので、それを知っている人は鬯で𝟏つの部品として認識できる。已前、どうしても急ぐなら𝟐𝟎𝟎の部首を丸暗記するという方法を紹介したが、部首を全て頭に入れていると、こういうところでも役に立つ。

 とはいえ、鬱は特殊な漢字で、面倒だがおぼえたいのなら鬱そのものを𝟏つの字としておぼえる方向で考えた方がいいだろう。知っていると灪や爩なども難しくは感じない。使うことはまぁ無いが(笑) 鬱病や憂󠄂鬱や鬱蒼といった鬱の字形でしか使わないのでおぼえられない人は無理する必要はないだろう。

 私が𝟔𝟒画の𪚥を知ったのは先ほど紹介した記事がきっかけで小𝟑の時だが、𝟔𝟒画に𠔻セイという字もあるのを知ったのは中𝟐以降。更に多い漢字は大学以降にネットをするようになって知った。その頃にはもう画数の多い漢字に興味は無かったが。

 上記のページで影響したのは、単に画数が多い漢字を知っただけでなく、一見ありえなさそうな漢字も「ひょっとしたら在るかもな」と未知に対して柔軟に可能性を考えられるようになる一助となった点。最初の段階で「そんなの有りえない」という視点でスタートする人とで情報処理の仕方は根本的に違う。選択肢としては


・在るかもしれないし、無いかも知れない。確実に無いとわかった時点で無いと言える
・今の時点で在ると知っているもの已外は全て無いに違いない


なので、𝟐つの考え方は二者択一ではなく包含関係になり、前者の方が採りる可能性が圧倒的に多くなるから有利になる。後者のような𝟎次元的思考に陥るとこれが理解出来なくなってしまい、かなりのハンデになるのだなと大人になってから感じる。学歴や専門性の有無は関係ない。個人の資質の問題。

 𝟏年後、小𝟒の時にアニメ『機動戦士ガンダム𝐙𝐙ダブルゼータ』に出て来るロボットでバウというものを知ったが、前垂れ部分に「龍飛」と書かれていた。

𝐀𝐌𝐗−𝟏𝟎𝟕 𝐁𝐚𝐰


 友達はリュウヒと読んでいたが、知らない複雑な漢字が在るということが頭にあった私は「龍飛」ではなく[龍/飛]という𝟏つの漢字なのかな?と疑問に思っていた。しかし辞書には載っていない。

 中𝟐の時、国語の先生に『大漢和辭典だいかんわじてん』の存在を教えてもらったのだが、学校の図書館にも在るというので早速見に行ってみた。索引で最初に確認したのはもちろん𝟔𝟒画の𪚥。在った。次に探したのは𝟒𝟒画の䲜。私は先程さきほどのコラムの記述から、漢字で最も画数が多いのは𪚥で𝟐番目が䲜だと思っていたが、実際は𝟒𝟒画から𝟔𝟒画までの間にたくさんの漢字が並んでいて、𝟐番目じゃないどころか幾つも在るとこの時知った。

四十四畫 𧢱セイ𩙤コツ
四十五畫 𦧅オウ
四十六畫 𩙣フウ
四十八畫 𩇔ドウトウ
五十二畫 ホウ
六十四畫 𠔻𪚥
 ※𩙤は豕が𝟑つで𝟒𝟖画だが、『大漢和』掲載の𩙤は[一/⺨]が𝟐つと豕が𝟏つで𝟒𝟒画。
 ※𦧅は『汉典』では総画𝟒𝟖~𝟒𝟗画扱い。『大漢和』掲載の𦧅は冂の中に在る𝟒画の[一/口]が左の「丨」にくっついて𝟑画の[一/コ]になっている。


 その次に探したのが𪚢で、ちゃんと𝟐𝟓画の項目に載っていた。更に驚いたのは、𪚢の読みが旧仮名遣いでバウ(現代仮名遣い⇒ボウ)だったこと。ロボットの名前もバウという。「龍飛」ではなく「𪚢」だったんだとわかった。更に面白いのは、どうもこれはただの偶然で、デザインや命名をした人が𪚢という漢字を知っていたわけでもないような印象をその後いくつかの情報に接する中で感じている。今のところどちらともはっきり確認をとったことはないのだが、機会があれば公式の解答を得てみたいとは思っている。﹙※追記:遠藤明吾えんどうめいご著の小説版『機動戦士ガンダム𝐙𝐙』では「𪚢バウ」の表記が登場するものの、その後の公式資料では一切目にしない﹚

 ちなみに𪚢や𠔻の意味は不明。𪚥は多言、つまり口数が多いという意味らしい。竜が𝟒匹もいたらうるさそうだなぁ……と女子の井戸端会議の様子を見て納得したものだった(笑)

 最後に実用的な話だが、「飛」は普通、これで𝟗画の部首と考える。しかし『汉典』では「飞」という𝟑画の部首を立ててそちらに含ませているので注意が必要。中国では飛の簡体字として飞を使っているからだと思う。日本では「𠃧」という略字を江戸時代以前の文書で偶に見かける。面倒なので飛という漢字をおぼえてしまった人は、私的なノートやメモでは飞を使ったらいいと思う。私は中𝟑か高𝟏くらいからは飞を使っている。
posted by Marimó Castellanouveau-Tabasco at 10:03| 情報処理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする