2018年03月12日

まだ、三河だよ……

 昨日の『関ジャム完全燃𝐒𝐇𝐎𝐖』では、番組で𝟏𝟎〜𝟓𝟎代𝟏𝟎𝟎人から「好きな失恋ソング」を調査したとして、各曲の歌詞について、作詞家&歌詞プロデューサーのいしわたりじゅんじ
淳治
さんと、作詞家のゾップ
𝐳𝐨𝐩𝐩
さんがそれぞれひはん
𢱧判󠄄
を試みるというものだった。情報処理的にも応用ができるテーマなのでここでも採り上げてみようかなと思うが、先に番組の概要だけをまとめて列挙する。

 いしわたりさん曰く、歌は大きく分けて𝟑類型。

𝟒𝟓%悲しい歌……恋愛が多い。演歌はほとんどこれ。日本人は悲しい歌が多い。
𝟐𝟓%幸せな歌……恋愛が多い
𝟐𝟎%自分に向けた歌……夢を追いかける;応援ソング
𝟏𝟎%その他……親に感謝;友情


 ゾップさん曰く、何かを作る時は感情が動く時。ハッピーな時はそのまま遊びに行っちゃうが、悲しい時はうちにこもるので何か作りたいなと思って、悲しいからこそ悲しい歌を作るのが自然な流れなのかなという気がする。

順位歌手作詞曲名発表年備考
𝟏位プリンセスプリンセス富田京子𝐌𝟏𝟗𝟖𝟖年﹦
昭和𝟔𝟑年
年代・男女を問わず失恋を思い出すという声が多い
𝟐位槇原敬之槇原敬之もう恋なんてしない𝟏𝟗𝟗𝟐年﹦
平成𝟒年
男女問わず𝟑𝟎代の人気が高い
𝟑位清水翔太𝐟𝐞𝐚𝐭․仲宗根泉﹙𝐇𝐘﹚仲宗根泉𝟑𝟔𝟔日𝟐𝟎𝟎𝟖年﹦
平成𝟐𝟎年
切ない;ギュッとくるという声が多数
𝟒位オフコース小田和正さよなら𝟏𝟗𝟕𝟗年﹦
昭和𝟓𝟒年
𝟓𝟎代に圧倒的人気
𝟓位竹内まりや竹内まりや元気を出して𝟏𝟗𝟖𝟖年﹦
昭和𝟔𝟑年
失恋ソング&友情ソング
𝟔位西野カナ𝐊𝐚𝐧𝐚 𝐍𝐢𝐬𝐡𝐢𝐧𝐨・𝐆𝐈𝐎𝐑𝐆𝐈𝐎 𝟏𝟑会いたくて 会いたくて𝟐𝟎𝟏𝟎年﹦
平成𝟐𝟐年
𝟏𝟎〜𝟓𝟎代迄、女性の支持が多い。
𝟕位杏里尾崎亜美オリビアを聴きながら𝟏𝟗𝟕𝟖年﹦
昭和𝟓𝟑年
𝟓𝟎代男性に人気
𝟖位米津玄師米津玄師メトロノーム𝟐𝟎𝟏𝟓年﹦
平成𝟐𝟕年
主に𝟏𝟎代から共感の声
𝟗位ゴールデンボンバー鬼龍院翔󠄃女々しくて𝟐𝟎𝟎𝟗年﹦
平成𝟐𝟏年
失恋ソングなのにノリが人気
𝟏𝟎位大塚愛プラネタリウム𝟐𝟎𝟎𝟓年﹦
平成𝟏𝟕年
𝟐𝟎〜𝟑𝟎代女性に人気


オリビアを聴きながら
 いしわたりさん曰く、別れた時に「出逢った頃は こんな日が 来るとは思わずにいた」というフレーズは当たり前過ぎる、みんなが思うことだが、言葉にするのはあまり無かったと思う。「塩ってしょっぱい」と言ったり言われたりしない。みんな言われたら解かる。一度聞けばおぼえる・歌う。それと同じ。聞いた話では人が耳から情報を入れて脳で処理するのに𝟎․𝟐秒かかる。話を聴いている時はスマホの予測変換機能みたいに、次はこうくるんじゃないかとスタンバイしている状態。歌詞も一緒で、次に来る言葉がシンプルであればあるほど速く理解が進む。だから頭に焼き付くのも速い。誰も言ったことが無かった場合、武器になる。ほとんどの人に当てはまる強さになる。

プラネタリウム
 ゾップさん曰く、「花火」はそれだけで華やかなイメイジがあるが、一瞬。はかない、刹那的なもの。

 失恋の歌は夏が終わったあとに書く人が多い。一夏の恋とか。𝟏か月とか𝟏か月未満だったりするので、その時期に体験して最も思い出に残るのが夏祭りとか花火とか。その時の自分と今失恋した自分の喪失感が、花火が消えたあとにすごい似てて、相性が良い。「プラネタリウム」ではその失恋を表現するために「花火」をサビまで取ってある。サビは一番テンション感が上がるところ。

 「打上花火」﹙歌:𝐃𝐀𝐎𝐊𝐎×米津玄師、作詞:米津玄師、𝟐𝟎𝟏𝟕年﹦平成𝟐𝟗年﹚
も同様で、サビまでに花火が開きそうな雰囲気がない。歩いているときにパッと花火が揚がった感覚を、メロディと構成を踏まえてサビにちゃんと歌詞を入れてるんだろうなと。華やかだけど刹那的なところが恋に似ている。

 花火已外では雨。涙と現象が似ているからだと思う。「レイニーブルー」﹙歌:徳永英明、作詞:大木誠、𝟏𝟗𝟖𝟔年﹦昭和𝟔𝟏年﹚の「冷たい雨」は涙とも取れるし、実際の雨とも取れる。ただ、無駄遣いはして欲しくない。何と無く序盤に雨を降らせて、最後までいじらない曲がある。そういう事は絶対にするな。もったいない。この歌はちゃんと最後に感情と重ね合わせてる。

会いたくて 会いたくて
 いしわたりさん曰く、サビあたま
が「会いたい」「会いたくて」という曲はすごく多いが、もう一文字「震える」を加えたのはすごい。「心が震える」とかは在ったと思うが、これをサビ頭に脈絡無くドンと置いた。これが在る事で歌いたくなったり、一瞬でおぼえたりすると思う。

 作詞をする時、行間を書くとか聞いたことあると思う。作詞をする時、何を書くかという事に終始しがちだが、大事なのは何を書かないかの方で、

今日は記念日 本当だったら
二人過ごしていたかな


って書いた事によって、こっから前、何ヶ月か前かはわからないが、勝手に聴き手が想像する。でも何をしたとかは書いてない。こういう事を書くことによって、なんか前に起きたのと同じ事になる。本当にちゃんと書こうと思ったら記念日にこれをしたとかこんな顔してたとか、書くこともできるが、書かないことによって書いてる。

 「愛をこめて花束を」﹙歌:𝐒𝐮𝐩𝐞𝐫𝐟𝐥𝐲、作詞:越智志帆・多保孝一・いしわたり淳治、𝟐𝟎𝟎𝟖年﹦平成𝟐𝟎年﹚

 𝟏番で

二人で写真を撮ろう 懐かしいこの景色と
あの白と同じポーズでおどけてみせて欲しい


と書く事によって、過去何をしてその写真を撮ったのかは書いてないが、これで過去二人がどういう関係で、どういう感じの写真を撮ったのかっていうのは多分皆んなが想像すると思う。で、サビに行った時は、

愛を込めて花束を 大袈裟だけど受け取って
理由なんて訊かないでよね


って言った瞬間、この先がどうなるかを聴き手は想像できるようになっている。

西野カナ シングル曲一覧﹙抜粋﹚
𝟐𝟎𝟎𝟗年﹦平成𝟐𝟏年「会いたくなるから」(失)
𝟐𝟎𝟏𝟎年﹦平成𝟐𝟐年「𝐁𝐞𝐬𝐭 𝐅𝐫𝐢𝐞𝐧𝐝」「会いたくて 会いたくて」(失)
𝟐𝟎𝟏𝟏年﹦平成𝟐𝟑年「たとえ どんなに…」(失)
𝟐𝟎𝟏𝟐年﹦平成𝟐𝟒年「𝐆𝐎 𝐅𝐎𝐑 𝐈𝐓❢❢」(失)
𝟐𝟎𝟏𝟑年﹦平成𝟐𝟓年「涙色」(失)「さよなら」(失)
𝟐𝟎𝟏𝟒年﹦平成𝟐𝟔年「We Don't Stop」「Darling」
𝟐𝟎𝟏𝟓年﹦平成𝟐𝟕年「もしも運命の人がいるのなら」「トリセツ」
𝟐𝟎𝟏𝟔年﹦平成𝟐𝟖年「あなたの好きなところ」
𝟐𝟎𝟏𝟕年﹦平成𝟐𝟗年「パッ」「手をつなぐ理由」
※(失)は失恋ソング


 𝟐𝟎𝟏𝟒年﹦平成𝟐𝟔年を境に失恋ソングは減少。西野さんに限らず最近失恋ソングのヒット曲が少ない。何でだろう?と思った時に、この頃から𝐒𝐍𝐒とかが流行り出す。つまり、失恋して独りで落ち込む時間よりも、直ぐ誰かと連絡取ったり、充実してる時間をアピールしたりとか、独りでしんみり恋愛ソング聴いている時間から、色んなところに目を逸らす術が出来てきたんじゃないか、聴く機会が減ってきてるんじゃないかなと思う。恋愛もしなくなってるっていう。

𝟕𝟎年代:半径が狭い、四畳半フォーク
 例)「神田川」「あの素晴らしい愛をもう一度
𝟖𝟎年代:アイドル全盛になって失恋自体もエンターテインメント。明るかったり軽い。
 例)中森明菜、松田聖子
𝟗𝟎年代:職業作詞家から自作自演の増加
 例)岡本真夜、𝐃𝐑𝐄𝐀𝐌𝐒 𝐂𝐎𝐌𝐄 𝐓𝐑𝐔𝐄、𝐁❜𝐳
𝟎𝟎年代:パーソナルな意見・描写を入れる人が増える
 例)𝐚𝐢𝐤𝐨、𝐌𝐫․𝐂𝐡𝐢𝐥𝐝𝐫𝐞𝐧
現代:検索すると全部聞ける。全てが並列にならんでいる。新曲が要るのか?というぐらい。


 仕事としては、時代のワードとか時代感を重視しないといけない。

𝟑𝟔𝟔日
 ゾップさん曰く歌を人間に例えるなら、タイトルは顔だと思っている。合コンとかお見合い行った時も顔が大事。𝟑𝟔𝟔日はどういう意味か。閏年かと思ったがよく読むとそんな事全く書いてない。多分、𝟑𝟔𝟓じゃ足りないという事を言いたいんだと思う。それぐらい思ってる。歌詞とかみても、知りたい知りたい・会いたい会いたいって思いがすごい強いので、それが𝟑𝟔𝟔日になったんだと思う。

 閏年の時に恋をしたのかな、閏年の時に別れたのかなとか、ダブルミーニングを持たせる事によって、色んな考えが行き渡る。情報過多の時代で頭一つ出るには、多分普段誰も目にしないもの、どういう意味なんだろうなという意味深なものじゃないと、この𝐒𝐍𝐒時代は上がっていけない。

 自身は一番最初にタイトルを考えて、それがどこにはまるのかをまず考える。一番良いのはサビの頭か、サビの最後。僕の中では、タイトルを頭、伝えたいことを最後に入れるっていうイメージ。この歌ってこういう事が伝えたいんだって事をサビの最後に言うと、スンと入る。歌い終わった時に。

 いしわたりさん曰くダブルバインドが入っている。ダブルバインドは心理学用語らしいが、簡単に言うと、泣きながら笑っているとか、相反する要素があると、心が一番揺り動かされる。例えば、奥さんが旦那の浮気を疑っている時に、怒って「昨日何をしてたの」と言うと言い訳をするけど、めっちゃ笑顔で訊かれたら怖くて素直に言っちゃう。つまり脳が混乱して素直に言っちゃう。この感じが失恋ソングはとても使いやすくて、この曲のサビにも実は入っている。

おかしいでしょ? そう言って笑ってよ


って多分本人は全然おかしくない。おかしくないけどおかしいでしょ笑ってよって言ってるところに、純粋な気持ちで受け止めてしまう。

もう恋なんてしない
 いしわたりさん曰く、歌詞を書く時に、もしセオリーがあるとすると気にするのは、𝟏𝐦の描写と、𝟎𝐦の描写と、𝟏𝟎𝟎𝐦の描写みたいな感じ。𝟏𝐦というのが、𝟓𝐦でもいいが、半径𝟓𝐦、つまりヤカンを火にかけるとか、自分の𝟓𝐦にある描写。𝟎𝐦になると自分の心理描写。𝟏𝟎𝟎𝐦とかになると、空もそうだし風景もそうだし、あとは自分が手が届かないものの感情とかのひろがり。段階をうまく踏んでいけると、いわゆる名曲のセオリーみたいなところに近づいていくのかなと思う。この曲の歌詞を見てもらうと、𝐀メロが半径𝟓𝐦の出来事を歌っていて、𝐁メロになると心理描写になって𝟎𝐦の感じ。サビに入ると「さよならと言った君の気持ちはわからないけど」、もう自分の手には負えない部分までひろがっている部分。最後にキャッチコピーの強い言葉、「もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対」っていうまとめ方をしている。完璧な作りになっていると思う。それがタイトルになっている。これは凄いと思うが、セオリー無視って書いたのは、こんだけうまく書けたら、サビの頭僕だったら使う。「さよならと言った時の君の気持ちはわからないけど」ってのを𝟐番で使いたい。使っても成立すると思うが、𝟐番はまた𝟏𝐦に戻る。サビなのに。「君あての郵便がポストに届いている」っていう話をする。また身近な話をする。それによって、書きたいこと、エピソード、思い出が溢れてるっていうような雰囲気が今度は出て来る。﹙この曲は音楽プロデューサーの本間さんの失恋のエピソードだから、﹚本間さんがめっちゃ喋ったんだろう。ノートがバンバンになるくらいエピソードがあったのかも知れない。
posted by Marimó Castellanouveau-Tabasco at 23:45| 情報処理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする