2018年03月06日

表記シリウス

 昨日、検索サイトを使ったついでに何と無く思い出したので「セミコロン」を検索してみた。

 以前はほとんど説明が出てこなかったが、現在ではいくつも使い方を説明した記事が出てくる。共通しているのはコロンとセミコロンを一緒に採り上げているサイトが多い点。中にはピリオド、コロン、セミコロン、カンマを一緒に説明している人もいる。

 名前が似ているのでどう違うんだろう?と考えることはある。私も疑問に思った。指摘しているサイトがあったが、学校の英語で習わない場合がある。私も中高𝟔年間でコロンとセミコロンのはっきりした説明はされた記憶が無い。ただ、サイトが宣伝に使っているような「○○在住」「○○留学」とか使えると上級みたいな文句は特に関係無く、普通に辞書を引けばおしまいな話で、逆に外国に行くまで知らなかったのか?何やってたんだ?と思わなくもない。「現地に行こうが行くまいが、分かる事は分かるし、分からない事は分からない。分かる人には分かるし、分からない人には分からない」という一例かも知れない。

 まず、コロンとセミコロンは「使い分ける」ものではなく、別物だと思っておいた方が良い。セミコロンは名前にセミと付いているので「コロンのようなもの」と思えるし、理屈としてそうも説明できるが、実際の使い方としてはあまり関係がなく、また関係させようとすると妙な文法用語をならべて混乱することになるだけだろう。「名称と役割を分離させる」というのは情報処理としても重要な視点になる。

 私が中高生の時、学校で指定されていた研究社の『英和中辞典』ではこう書いてある。

𝐜𝐨·𝐥𝐨𝐧¹[kóulən]〘ギリシャ語「肢体,部分」の意から〙名Ⓒ(句読点の)コロン⦅:⦆.
語法⑴対句の間または説明句・引用句の前などに用いる.⑵時(間)・分・秒を表わす数字の間に用いる: 𝟏𝟎:𝟑𝟓:𝟒𝟎 𝟏𝟎時𝟑𝟓分𝟒𝟎秒/𝐭𝐡𝐞 𝟗:𝟏𝟎 𝐭𝐫𝐚𝐢𝐧 𝟗時𝟏𝟎分発の列車.⑶聖書の章句の間に用いる: 𝐌𝐚𝐭𝐭․𝟓:𝟔 マタイ伝𝟓章𝟔節; ⑷対比を表わす数字の間に用いる: 𝟒:𝟑 𝟒対𝟑⦅★読み方𝐟𝐨𝐮𝐫 𝐭𝐨 𝐭𝐡𝐫𝐞𝐞 と読む⦆/𝟐:𝟏=𝟔:𝟑 𝟐対𝟏は𝟔対𝟑⦅★読み方𝐓𝐰𝐨 𝐢𝐬 𝐭𝐨 𝐨𝐧𝐞 𝐚𝐬 𝐬𝐢𝐱 𝐢𝐬 𝐭𝐨 𝐭𝐡𝐫𝐞𝐞․ と読む⦆.


 これで十分な気もする。英語の文章で気になるのは⑴対句と説明・引用。しかしこれも箇条書きをする時、日本語の説明にもたまに出てきている。他、⑵時計の書き方は日本でもデジタル時計の表示板を見ればすぐにわかる。⑶聖書の章句は使う人が限られるのでまぁ、こういう場合もあるという程度に知っておけばいい。⑷比例の時に使うのは小学校の算数で習う。唯一習うコロンだろう。

 重要なのは⑷にでも出て来る「読み方」じゃないかと思う。書くのはこの説明で十分だが、声に出して読むときはどうするのか?幾つか解説サイトを読んでみたが、なぜかこの点に関してはどこも説明していなかった。𝟒:𝟑と書いても読み方を知らなかったら[𝐟𝐨𝐮𝐫 𝐭𝐚𝐢 𝐭𝐡𝐫𝐞𝐞]とか[𝐟𝐨𝐮𝐫 𝐜𝐨𝐥𝐨𝐧 𝐭𝐡𝐫𝐞𝐞]と読まざるを得ない。大学の英書講読の授業だったと思うが、⑴のような文中でのコロンは何と読むのか訊いたら𝐭𝐡𝐚𝐭 𝐢𝐬と言われた。𝐢𝐬は基本的に数学で言えば「=」のことなので、これを感覚的に把握しておけば、面倒な説明をする必要は無いと思う。日本語だったら「つまり」。

 じゃあ最初から𝐭𝐡𝐚𝐭 𝐢𝐬と書けばいいじゃん……と思ったりもするが、わざわざ使うくらいだから何かしらの経過があるのだろう。こういう時に使われ始めた歴史がわかると理解しやすい場合がある。今だとネットで手軽に調べられるのでそれはありがたい。ただし、どこまで合っているのかわからないという留意は常に持っておく必要はある。本であれネットであれ。

 それから、英語キーボードでは標準搭載されているので、他の用にも使い始める面倒な人達がいる。結果、コンピューター言語でも使われて別の意味を持っていたりする。そういうのは英語という言語に特化した解説では足りないことが多い。一方で、今の時代、コンピューター上での使われ方も知っておいて損がない。語学の教師も、コンピューター言語を使いこなせとまでは言わずとも、最低限の文字や記号の使い方は説明できるようにしておいた方がいいと感じる。

 ウィキペディアはこういった雑多な全体像を把握するには便利で、コロンについても項目がある。

コロン



 歴史が書いてあり、変遷がわかる。ギリシャ語の中点の話があるが、そこで使っているのはU+00B7の「·」なので中点﹦ミドル・ドット𝐌𝐢𝐝𝐝𝐥𝐞 𝐃𝐨𝐭 ﹙ピリオドセンタード𝐏𝐞𝐫𝐢𝐨𝐝𝐜𝐞𝐧𝐭𝐞𝐫𝐞𝐝﹚になる。一方、現代ギリシャ語用にセミコロンとして復活したアノテリアという話はU+0387の「·」という記号のことだろう。大休止𝐆𝐫𝐞𝐞𝐤 𝐀𝐧𝐨 𝐓𝐞𝐥𝐞𝐢𝐚﹙𝐀𝐧𝐨𝐭𝐞𝐥𝐞𝐢𝐚﹚と呼ばれているようだ。

 コンピューター関連の項目で出ている内容のうち、専門分野でなくてもお世話になるのは𝐔𝐑𝐋の𝐡𝐭𝐭𝐩://だろう。あとはドライブ名を表す時の𝐂:。

 それから、似た記号として発音記号の長音が紹介されている。これもウィキペディアに項目がある。

長 (発音記号)


 そこに書いていないが、英語名はトライアンギュラー・コロン𝐓𝐫𝐢𝐚𝐧𝐠𝐮𝐥𝐚𝐫 𝐂𝐨𝐥𝐨𝐧と呼ぶ。三角形だから三角コロンということ。言われないとコロンの一種だと考える機会は無いかも知れない。中𝟏の頃、辞書の発音記号を写すよう言われた時は、意味もわからず三角形を𝟐つ書いていた。名前どころか役割すら解説されなかった。「なんとなく長音っぽい」と自力で気づき、のちにネットが使えるようになってから海外のサイトで調べてようやく名称がわかったといった状態。

 視点を変えると、長音を表す際、マクロンや三角コロンを直ぐに出せない状況でコロンを代用するという手もあるということ。私は登録してあるのでマクロンや三角コロンは直ぐに出せるようになっているが、メモで急いでいる時は直ぐに打てるコロンを使っている。ハイフンを使うと名前などでハイフンとして使われている場合との区別がつかなくなるので。

 研究社の英和中辞典では「𝐜𝐨𝐥𝐨𝐧」の項目が他に𝟐つ在る。


𝐜𝐨·𝐥𝐨𝐧²[kóulən]名Ⓒ(複~s, co·la[-lə])
   〘解〙結腸.

𝐜𝐨·𝐥𝐨𝐧³[kolóun]名Ⓒ(複co·lo·nes[~eis], ~s)
   コロン⦅コスタリカ(=100 centimos)・エルサルバドル(=100 centavos)の通貨単位; 記号 ₡⦆.


 綴りは一緒だが、読み方が少し違う。記号と結腸のコロンは前アクセントで「コウラン」。以前話題にした、語末が𝐧𝐠ではなく𝐧で終わっていると、音が変わってしまうことがあるという例になる。

 一方、通貨単位のコロンは後ろアクセントでコロウン。スペイン語圏の話なので本来はコローンなのかも知れない。

 コウランと聞いて何を思い浮かべるだろうか?人名の李香蘭の人もいれば、聖典のコーランの人もいるかも知れない。あとで触れるウィキペディアの「コロン」一般では出ていなかったので触れておくが、英語では𝐭𝐡𝐞 𝐊𝐨𝐫𝐚𝐧で[ðə kərǽn | kɔ(ː)rɑ́ːn]。片仮名であえて書けば、後ろアクセントでザカレンやザコラーンになる。なのでコーランなのかコラーンなのかで意味が変わってしまう点に注意がいる。当のアラビーヤ語ではالقران[al quraːnu]、そのまま読んだらアル・クルアーヌ。だから中東専門の解説ではコーランではなくクルアーンという名前で出て来ることがある。知っておいて損は無いだろう。ただ、[u]と[o]の区別は曖昧な上に、カーフではなくコーフを使っているのでコルアーンで結局コラーンも間違いじゃない。

 アラビーヤ語は𝐊が𝟑つ在る。𝟏つはخで、これは痰を吐く時のような絞り出す感じで[ㇰハ]と音を出すので、ラテン文字では𝐤𝐡とかと書かれる。通常は「ハー」と解説されるが、「ハー」には𝟑種類あって、その中でこの「ハー」は[k]のような音が聞こえるので一応挙げておいた。

 𝟐つ目はكで、これはカーフ𝐤𝐚𝐚𝐟と呼ばれ、[k]の音。そして𝟑つ目にق。普通はカーフと呼ばれ、ラテン文字では𝐪𝐚𝐚𝐟と区別しているが、実際に聴いた感じでは日本語の「カ」というよりは「コ」の方に近い。なのでコーフとおぼえておいた方がいいし、その方が区別がしやすいように思う。カーフ𝐤𝐚𝐚𝐟の方はどちらかというとケーフ𝐤æ𝐟に聞こえる。

 興味深いのは、ラテン文字圏でも𝐊と𝐂と𝐐という𝟑つの文字が在る点。さかのぼったラテン語でも𝟑つ出て来る。しかし𝐊はほとんど使わず、[k]の音は通常𝐂を使う。𝐐は𝐐𝐔という二重音字で出て来て[kw]の音。現在でもフランス語ほか、ヨーロッパ各国の言葉では𝐐が𝐔を伴っているケースが多い。𝐤𝐡のような音はラテン語には無い。ギリシャ語の𝚾の古い音では出て来る。

 ラテン語はラティウム、現在のラツィオの方言が元になっているとされ、文字体系に関してはラスナ人、ラテン語で言うところのエトルリア人から学んでいる。このラスナ人は現在のトルコ方面から来たとも言われているが細かいことがよくわかっていない。ただ、文字に関しては𝟑つの[k]を使い分けていたよう。−𝐚がつく時は𝐊を、−𝐞 (−𝐢)がつく時は𝐂を、−𝐮 (−𝐨)がつく時は𝐐を。𝐊𝐚、𝐂𝐞、𝐐𝐮。そう、コーフのように[o]の音と関係してくる。

 ラテン語に同じく影響を与えているギリシャ文字ではカッパ𝚱の𝟏つしかない。コッパϘという文字もあるが例外。たしかコプト教徒のギリシャ語で使っていたと思う。ヘブライ文字も形が似ていて、קというのがある。名前もズバリ、コーフ𝐐𝐨𝐟。

 日本人の感覚だと国も地域も言語もバラバラだが、こういうところで地中海文化圏としての共通性を感じることがあるし、近いんだなと思わせてくれる。実際、ヨーロッパと中東や北アフリカは人の行き来も盛んで、飛行機や船だけでなく長距離バスなども出ていた。ニュース番組でもよく出て来る。日本では次期指導要領改訂で世界史が必修から外れ、近現代史が新設必修になるらしいが、地理であれ歴史であれ公民であれ音楽・芸術であれ、この辺の国際関係を把握するにはどの道一帯として中世以前からの流れを把握しないと、わからなくなるだろう。上位の層では結局やることは今迄と変わらないんじゃないかと思うし、頭に入るのであれば、その方が良い。

 この他、ウィキペディアでも色々な「コロン」が列挙されている。

コロン (colon, côlon, Cologne, Collon, Colon, Colón, Coron, など)


 フィリピン・パラワン州の𝐂𝐨𝐫𝐨𝐧、アイルランド・ラウス州の𝐂𝐨𝐥𝐥𝐨𝐧、パナマの𝐂𝐨𝐥ó𝐧といった、地名・姓氏が多い。そこには載っていないが、仏国でコロン𝐂𝐨𝐥𝐥𝐨𝐦𝐛という姓氏もある。コロンブス𝐂𝐨𝐥𝐮𝐦𝐛𝐮𝐬と同語源かも知れない。

 𝐂𝐨𝐥𝐨𝐠𝐧𝐞は少しややこしい。一見、コログネと読みたくなるが、これもコロン。もう少し正確にはカロウン[kəlóun]。但し、「英語読みでは」という条件付き。フランス語読みするとコローニュ[kɔlɔɲ]になる。𝐠𝐧はこれで一つの二重音字で、[ɲ]の音。スペイン語の上ティルデ付𝐍「ñ」と同じ。日本語だとニャ・ニュ・ニョといった音に近い。ラテン語の植民地コローニア𝐜𝐨𝐥𝐨𝐧𝐢𝐚が語源。

 ウィキペディアにもあるように、オーデコロンのコロンがこれで、日本での江戸時代半ばに相当する時期、コローニュで造られたのが語源らしい。ドイツ語ではその場所をケルンという。大聖堂の在る古都で交通の要衝でもあるから、高校世界史でも出て来るが、単にクイズ・雑学程度ではなく、教養として知っておいた方がいい地名。ヨーロッパへ行く機会があった時に役に立つ。知らないとケルンとコロニュとコロンが同じ場所を意味するとわからない事になって、とんだ勘違いをする事になりかねない。

 ドイツ語でケルンは𝐊ö𝐥𝐧と書く。ウムラウトを使わない場合は𝐊𝐨𝐞𝐥𝐧。発音は[kœln]だが、日本語の[ケルン]でまぁ、構わない。一応ウムラウトを使った発音の仕方はドイツ語の解説で出て来るし、𝐤𝐨と𝐤öの違いを言いわけられるにこしたことはないが、ほとんど変わらない。𝐊𝐨𝐞𝐥𝐧をそのままローマ字読みすると[コエルン]だが、その[コエ]を同時に発音するような感じになる。[コ]のすぼめた口のまま[コエ]と発音すると言ったらいいだろうか。すると𝐋の音が[ル]というより[ウ]に近くなって[コェウン]に聴こえる。

 こういう、言語ごとの綴りや発音の違いは、慣れないと訳がわからなくなると思う。これで現地に行くと、更にオランダ語の案内表記まで併記されていたりする(笑) 日本だと日本語・韓国語・中国語・英語の併記くらいなら文字が違うので区別がしやすいが、ラテン文字圏で国が隣接している地域は、全部ラテン文字なので慣れないと案内表示一つ見るのも大変。車内放送でも𝟒カ国語くらい順番に流すことがあり、英語しかわからないと、その英語の番が来るまで耳をダンボにして待っていないといけない。聴き逃すと一巡するのにまた時間がかかる。結局近くの人にきいた方がはやいとなる。嫌でも英語を使うことになる。というより、非英語圏に行くと英語が通じるだけありがたいと感じるようになる。たとえ中𝟏レベルの英語力しかなくても。英語圏に行くと「自分は英語ができない」と改めて感じるだけ(笑) もっとも、今はスマートフォンがあるので移動もだいぶ楽になっていることだろう。


 というわけで、コロンとセミコロンを一緒くたにしないように、コロンだけで話をまとめてみた。なので次はセミコロンだけで触れてみる。
posted by Marimó Castellanouveau-Tabasco at 14:29| 情報処理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする