2018年03月02日

驀進する鉄火丼 𝟏哩

 前回、サウンドトラック、つまり劇付随音楽を先に聴き、あとになってそれが本来使われている物語を見る経験をしたことについて触れたが、主題歌に限ればもっと古くに耳にし、もっと時間をおいて本来の作品を目にしたケースがある。その𝟏つが『銀河旋風ブライガー』(以下、単に『ブライガー』)。

 本放送は𝟏𝟗𝟖𝟏年﹦昭和𝟓𝟔年らしいが、私は𝟏𝟗𝟖𝟐年﹦昭和𝟓𝟕年以降に歌だけをおぼえた。それも原曲ではなく他人が再演したカヴァー曲を。原曲を初めて耳にしたのは𝟐𝟎𝟎𝟕年﹦平成𝟏𝟗年頃だったと思う。今なら原曲が聴けるだろうか?とユーチューブで検索してみたら在った。伴奏も歌っている人も違うので少し不思議な感じがしたし、アニメのオープニング映像を見て、『ブライガー』とはこういう作品なんだというのも知った。歌詞の中では「スーパーポリス自慢のマシン」と出て来るものの、変形だ合体だとは出て来ないので、てっきりパトカーのような戦闘機が主役メカなのかと思っていたが、変形してロボットになっていた。

 私が『ブライガー』の曲を知ったのはアニメの主題歌ばかり𝟏𝟎曲ほど入ったカセットテープがきっかけで、そのテープには『バクシンガー』という作品の曲も入っていた。『銀河旋風ブライガー』に対して『銀河烈風バクシンガー』(以下、単に『バクシンガー』)というタイトルだったので関連する作品なのだなとは想像がついたが、『バクシンガー』も見たことはなかったのでどういう作品か全然想像がつかなかった。『ブライガー』同様にユーチューブで初めて見たが、こちらの主題歌はもっと変わっていて、歌詞の中に「銀河烈風」という言葉は出て来るものの、「バクシンガー」という言葉は出て来ない。この頃のアニメ、当時は「テレビまんが」の略で単に「まんが」と呼ばれていたが、始まりの歌では作品名を口にするのが普通だったので、珍しい部類に入る。そして『ブライガー』同様、変形だ合体だと言葉は出て来ないが、映像を見る限りバクシンガーは変形・合体をするロボットだった。

 主題歌とその映像は見られたものの、物語がどういうものかは知らなかった。一昨年くらいだろうか、𝐌𝐗テレビで『ブライガー』が再放送されているのを偶々目にした。曜日や時間帯までおぼえていなかったので毎回ではないが、偶に機会があれば観ていた。結局最終回がどうなったのかも分からずいつのまにか終わっていたが、そのあとに始まったのは『バクシンガー』だった。同様に出くわす機会があれば観ているが、飛び飛び。

 『ブライガー』は火星軌道と木星軌道の間に在る小惑星帯:アステロイド・ベルトを舞台にしていた。現在の天文学ではアステロイド・ベルトという言い方はしていないようだが、ここでは作品に合わせる。前回火星の話題で、住めるようになったあとの火星を舞台にしたガンダム作品として『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(以下、『てっかどん
鉄燁丼
』)の名前を出したが、この作品でも火星周辺や木星近くまでもが舞台となっているので、『ブライガー』を観ていれば比較もしたくなるところ。実際、舞台だけでなく設定も、流れ者的な人たちが作った警備会社のような小さな組織が、様々な依頼を請け負って悲喜交々ドラマが生まれる点が、『鉄燁丼』と類似していた。ただ、『鉄燁丼』で出て来る組織の方が、もう少し規模が大きく、𝟏𝟎𝟎人以上はいたようだった。『ブライガー』の場合は𝟓人ほど。



 『バクシンガー』は『ブライガー』と同じ世界観にあるものの時代は数百年経っており、直接のつながりはないが、伝説となっていてそれに憧れる若者が旗揚げをするという設定らしい。私は途中から観始めた上に飛び飛びなので細かいことは知らないが、バクシンガーで出て来る組織はもっと規模が大きく、やはり𝟏𝟎𝟎人くらいはいるようだった。正規軍とともに権力者の護衛任務についていたので、組織化もされており内部は部隊がいくつかに分かれている。その点ではこちらの方が『鉄燁丼』と似ているなとは思ったが、そういう比較をすると今度は『鉄燁丼』よりも『バクシンガー』の方が物語の構成や展開はよく出来ているなと感じ始める。

 『鉄燁丼』は民間警備会社の若きリーダーとそれを補佐する仲間を中心とした人達が成功を目指して火星から宇宙に出ていく物語で、成り行きから政争に巻き込まれる。最終的には反乱軍の一翼を担うことになってしまい、鎮圧されて終わるのだが、間に出て来る様々な政治的駆け引きや幾つか登場する組織・派閥のやりとりはそれほど複雑ではない。どちらかというと人間ドラマに重きをおいたもので、主人公が事実上𝟐人いて、また敵方の個人的背景もある程度クローズアップされる群像劇的な面もある。

 『バクシンガー』はそれに較べれば人間ドラマの深掘りは少ないし、お子様向け合体ロボットアニメということで、毎回戦闘があって定番の合体・変形場面が時間を取って描かれる。しかし、組織間のからみ方や登場人物の数、展開の速さは『鉄燁丼』よりはるかに大きく複雑で、幼児向けアニメにしては特殊だなと感じ始めた。組織の名前にバクーフとかゴーショケといったものが出てきているので、幕󠄂府や御所家、つまり朝廷のパロディなんだろうというのはすぐに分かったが、単に名前だけのものかと思っていた。

 しばらく観る機会が無く、昨年𝟏𝟐月の中頃に𝟏〜𝟐度、そのあとは今年𝟏月の終わりか𝟐月の初めくらいだったろうか、久しぶりに観ることができたものの、話が以前よりだいぶ複雜になっており、まずは名前と状況の把握からしないと何がどうなっているのかさっぱりわからない状態。観ながら構成を追っていると、どうもこれは幕末の歴史そのものをパロディにしているのではないか?と思い始め、そうなるとバクーフと連れ添っている主人公たちは展開的にまずいんじゃないのか?と先が想像出来る。劇中では相変わらず主人公たち銀河烈風隊の活躍が目立ち、とても悲劇的最期を迎える様子は感じられない。

 そこでウィキペディアを確認してみると、やはり幕末維新史のパロディで、しかも銀河烈風隊は新撰組のパロディだった。リーダーのドン・コンドールは近藤勇のことだったらしい。その他、けっこうな数の実在人物・組織のパロディが語源とともに紹介されていた。言われないと、長州藩󠄂をロングー﹙長﹦𝐥𝐨𝐧𝐠﹚と呼んでいるのはわかっても、薩摩藩をゴワハンドと呼んでいるのはなかなかわからない。「ごわす」と「摩」の脚部に在る「手﹦𝐡𝐚𝐧𝐝」から来ているのだろうか?

 史実では幕府軍が負けることになるので、物語でも同様に悲劇的最期を迎えるらしい。先週が第𝟑𝟒話「新たなる夢」か第𝟑𝟓話「アステロイドに祈る」だったと思う。全𝟑𝟗話なので、残り𝟒話くらいだろう。𝟑月一杯で切りよく終わるのかも知れない。毎週金曜日の𝟏𝟗時𝟎𝟎分からやっているということもわかったので、第𝟑𝟗話「烈風散華」を楽しみにしている。

posted by Marimó Castellanouveau-Tabasco at 11:57| 情報処理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする