2018年01月15日

活けまして、弓得とうございます②

 昨日の表題、語呂が少し悪いと感じたので変えてみた。

 その昨日の「活けまして、弓得とうございます」で、選択式に慣れると、正解が最初から用意されていて、その中にあるものを探せばよいという発想になってしまう人がいるという話をした。後半では消去法で答えを絞っていく方法のように、事前に用意した知識で対応できなくても最善の回答を見出していく過程の話に触れている。どちらも情報処理の基礎として認識しておくことは重要で、とりあえずは個別に押さえておきたい点。同時に、選択肢を潰していけば正解が残る発想に問題があるのに、消去法で選択肢を潰していくのはどうなのか?と疑問に思った人がいたら、その人はセンスがあると思う。次のステップとして「それ已外」の想定が重要になってくる。

※以上・以下や以外・以内といった表現は通常、「そのものを含む」と考えるが、「そのものを含まない」場合の表現が無く区別が面倒なので、このブログでは便宜上、そのものを含む場合には「以」を、含まない場合は「已」を使う。本来は「以上」も「已上」も単なる表記違い。


 ある問題の解決を考えるさいに、用意された選択肢から正解を見出す場合に限らず、複数の選択肢を自前で用意してその中から最善のものを見出す場合も同じことだが、常に「選択肢にはない場合が適している可能性もある、単に自分が思いつかなかっただけ・知らなかっただけ」という要素は頭の隅に置いておく。このちょっとした意識が習慣化すると、その場に無い情報があとになってもたらされたり、予想外の結果や展開になった場合も、対応がしやすくなる。有るか無いかの二択で考える𝟎次元思考の人でなくても、その場にある選択肢や今まで考えてきた選択肢の範囲が全てという算段で突き進んだり余裕を持たせていないと、急な対応ができない。物理的にとりにくい以上に、制度的にもだし、なにより精神的に切り替えがきかない人が出て来る。リーダー論でどういうことが語られているのかは知らないが、想定の広さは重要になる。

 この点で私も初めてみた時に関心したのは、病気の分類。年末に

「ゲーム障害」を精神衛生疾患に分類、WHO草案


という記事が出て、その後𝐓𝐕ニュース等にも波及していた。一応この話にも触れておくと、「ゲーム」という言葉に引きずられてゲームの善悪の話にこだわってしまった人は読解力や情報処理力の点で注意がいるかも知れない。単にゲームでもそういうことが起こるので病名に加えるという話でしかなく、病気で「障碍」を考える場合はそこの記事にもあるように、継続的でやめられず生活に支障が生じる場合全般を言う。家を出たら玄関の鍵をしめたかどうかおぼえておらず気になることはあるかも知れないが、これも度が過ぎると同じように障碍という話になる。「過ぎたるは及ばざるがごとし」の諺程度に考えればいい。

 そこで認定先として話に出ているのが「疾病に関する国際統計分類(ICD)第11版」だが、現在はこちらが使われている。

𝐈𝐂𝐃𝟏𝟎 国際疾病分類第𝟏𝟎版(𝟐𝟎𝟏𝟑年版)



 𝟐𝟎𝟎𝟑年﹦平成𝟏𝟓年に改訂されて𝟐𝟎𝟏𝟑年﹦平成𝟐𝟓年に一部改訂があったよう。違いがどの程度あるのか私は把握していないが、以前構成の概要を一覧したことがある。多分その時のは𝐈𝐂𝐃𝟏𝟎−𝟐𝟎𝟎𝟑だった気がするが、それで全𝟐𝟔章𝟓𝟒𝟗中間分類𝟏万𝟏𝟎𝟑𝟔三桁分類くらいは あった。一口に「病気」といってもこれくらいあるということになる。実際はというと、最後の方にある分類などは死因をどうするかといったもので「病気」ではないし、三桁分類も更に細かく分かれている。詳細な病名が具体的にどれくらいあるのか数えたことないのだが、今朝ブログの話題に使うかと検索していたら

「病名くん 𝟐․𝟎﹙𝐈𝐂𝐃𝟏𝟎−𝟐𝟎𝟏𝟑対応﹚」


という病名検索ソフトをみつけた。東大の標準病名マスター作業班というところが作っているらしいが、ここで傷病名として登録されているのがざっと𝟐万𝟓𝟔𝟓𝟖種類だった。これだけ覚えたら取り敢えずは病名で困らないらしい(笑) 「病名が変換できません」という苦情もたった𝟐․𝟓万の登録でだいぶ減るんじゃないかと思う。実際は表記や表現が多種多様で𝟐․𝟓万登録した程度じゃ不自由を感じない状態にはならないと思うが。また、𝐈𝐂𝐃分類と日本の医療現場で使われている分類や病名は必ずしも一致しておらず、𝐈𝐂𝐃分類は主に提出書類で使われているというのが実態らしい。これも、「𝟐․𝟓万が選択肢のすべて」と考えて終わるのか、様々な分類や利用法があるというところまで意識をもつのかで、知らない病名が出て来ても考えることは違ってくる。

 情報処理の例なので今は𝐈𝐂𝐃分類に限定するが、全𝟐𝟔章𝟓𝟒𝟗中間分類𝟏万𝟏𝟎𝟑𝟔三桁分類はずらりと𝟏列にならんでいるわけではなく階層化されている。階層化という言葉は「走りまして、恵比須顔でございます」でもちらりと出したが、情報処理の重要な概念。簡単に言えば、「みかんとリンゴと野菜と果物とスイカとじゃがいもをグループにわけましょう」といったときに、じゃあ地面から出ているものを「野菜」にしよう、木の枝になっているものを「果物」にしよう、と考えて、野菜や果物という言葉・グループと、みかんやリンゴやスイカやじゃがいもといったグループを違うものと考えていく、更に野菜というグループの中にスイカやじゃがいもがある、果物というグループの中にリンゴやみかんがある……と分けていくお話。複雑だ・理屈は要らないと反発をおぼえる人も出て来るかも知れないが、これは以前𝐓𝐕で小学入試の問題として紹介されていた話とほぼ同じ。つまり幼稚園児がそういうことをやっている。幼児レベルの話でおわるものではなく、世の中で多く使われている情報処理の概念なので、小学生でも高校生でも専門家でも、それぞれのレベルや目的に応じた階層化があり、自分で階層化の作業を各発達段階で経験しておくのはあとあと役に立つと感じる。

20180115a1.jpg


 𝐈𝐂𝐃の分類の階層化の様子を図にするとこんなものになる。すごい規模にみえるが、慣れると気にならなくなる。私が感心したのは複雑さではなく、赤線で引いた部分。ちゃんと「その他」「詳細不明」という項目がもうけられている。全てではないがこういった項目がかなりの数用意されている。必ず明示せずとも、複数の選択肢を考えるさい、常にこういった「その他」「詳細不明」の要素を頭の隅に置いておけることが理想。わかっていても忘れてしまうことがある。

 オマケだが、出したついでなのでその傷病名𝟐万𝟓𝟔𝟓𝟖個を単語登録してみた。人力で手打ちをしなくてもやり方次第では数時間で作れる。

傷病名_標準ローマ字設定用.7z


 運用の仕方は「第2部首を使った漢字変換用システム辞書ファイル」を参照のこと。今回のこれは情報処理の話題をするためのデモ用につくったので変換コードなどは入れていないが、作ったついでなので少しデータを加えてみようとは思っている。ただ、このあと自分専用のローマ字設定に替えてしまうので、公開はしないと思う。

 最後に、「それ已外」の例としてムーミン問題の方に戻るが、なかなか面白い指摘がネット上に出てきていた。それは、ムーミンの物語は仮想の世界であって、フィンランドが舞台ではないから問題として成立していないというもの。これは考え方が𝟐つある。問題作成上の技術として、設問の表現に複数の選択肢が生じたり、正解が限定できないのはよくない。その点でこの指摘はすばらしい。小中学生ならこういう穴をどんどん探してみたらいい。大人でもミスを探すことが重要な役割では重要な能力になってくる。もう1つに、問題全体の趣旨として、北欧の国家の話をしており、フィンランドの関係する作品を出しているのだから、全体としては筋が通っており意図も把握できる。なのでさまつな間違いは問題とせず、その中で最適な解を導き出すという視点。この能力はリーダーとしては重要になる。人材判定に使えるネタでもあると言える。
posted by Marimó Castellanouveau-Tabasco at 23:59| 情報処理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする