2018年01月10日

走りまして、恵比須顔でございます

 大陸の寒波が北西からやってきたということで、九州北部でも降雪があったらしいが、雪の中で遊んでいる子どもたちの映像を見ていると、紅白帽が目立っていた。紅を上にしていたので。

 白にすれば積もった雪と混じって見えにくかったろう。逆に緑の草地で遊ぶなら白い方が目立ったかも知れない。今更だが、紅白帽はよくできた帽子だなと感じた。頭に装着する道具は世界中に数あれど、表裏両用リバーシブルなかぶり物というのはなかなか珍しいのではないかと思う。これでチームを分けたりできるというのは実に効率的。前回触れた話で言えば、一水二見。しかし、子どもにかかればさらに別の使い方もするので、やはり一水四見になる。つばを中に押し込んで丸めてゴム紐でからめると、紅白帽はボールにもなる。つばを持てばかぶる部分はボール受けにもなる。グローブ。手のひらをバットにする。これで野球ができる。柔らかいので単にぶつけて遊んでも危険はない。雪が降っていなくてもちょっとした雪合戦様の遊びが可能となる。

 その一水四見だが、元々の文脈はどんなものだったのかせっかくなので確認してみた。『溫故要󠄃略』に出て来るもので、





















所󠄃
 


ルニ



 送り仮名は私が入れたものなのでだいたいこんなもの程度に考えてほしい。「各」は通常[おのおの]と読むので同様かと思う。法門は𝐀𝐫𝐜 𝐝𝐞 𝐓𝐫𝐢𝐨𝐦𝐩𝐡𝐞のことではなく仏教の教えを指す。色や輝きから宝石を想像したり、反対の火を想像したり、自分の居場所を想像したり。様々な視点がある。情報処理的には、水を見て水そのものと考える視点もちゃんと触れられている点も評価できる。何も思い浮かばない平凡な視点にも思えるが、一方で、「水を見て何か想像してみよう」と意識的に考える場合、どうしても何か特別なことを考えようとする、あるいは他の人と違う変わったアイデアでないといけないという強迫観念を持つ人・そうでないといけないと他人にも強要󠄃してくる人がいる。そして、何か特別なことを考えている・意図があるに違いないと分析する選択肢から逃れられない人も出て来る。しかし、そのものをみることも視点の一つであるし、何も考えないということも視点の一つ。このゼロの概念を理解できない・感情的に受け入れられない人は意外といて、情報処理の障碍になっていることがあるので、気をつけてみてほしい。また他の話でも触れることがあると思う。

 上の文章では返り点に一二点が出てきている。送り仮名には片仮名を使っている。記号は二段に分けて返り点は上段に、送り仮名は下段にして統一しているので、間違えることはないと思うが、上段の一二点の「二」は漢数字の𝟐。下段の「ニ」は「に」の片仮名。

 今朝こんな記事を目にした。

言葉の風景へ ゆかりの地を歩く(2) 葉室麟「無双の花」=柳川市 [福岡県]


 文中で
「妻の〓(ぎん)千代(1569~1602)


といった表現がある。文章の最後には
※「〓」はいずれも「もんがまえ」の中に「言」

と注釈されている。環境依存文字扱いなのであえて「誾千代」とは書かずに記号を当てて、別途にその記号が意味する字形を言葉で表現している。手法としては珍しくないのだが、この表記法、いつまで続けるのだろうか?現在インターネットに接続されているパソコンの基本ソフトに何が使われているのかは大まかに把握されているが、大部分はすでにウィンドウズ𝟕とウィンドウズ𝟏𝟎に置き換わっている。少数派ではあるが、ウィンドウズ・ヴィスタやウィンドウズ𝟖、ウィンドウズ𝟖․𝟏、ウィンドウズ・サーバー𝟐𝟎𝟎𝟖以降など、𝐍𝐓𝟔․𝟎以降となるとさらに増える。ウェブ・ブラウザもクロームやエッジ。インターネット・エクスプロラーでも𝟕以降が多い。スマートフォンでもアンドロイド端末が大部分で、ブラウザはクロームとなってくる。となれば、「誾千代」と書いても表示に問題無いほうが普通じゃないかと思う。今文字化けして読めないのは相当古い𝐎𝐒やブラウザか、ガラケーからみる場合など限られているように思う。

 表示フォントによって見え方は変わるが、「〓」はややこしい場合、漢数字の二にも見えるし、片仮名のニにも見える。
〓千代は世を去るが

〓千代が夫に掛ける言葉が

 最初見た時、𝟐𝟎𝟎𝟎代、[にちよ]かと思った。

〓千代は関ケ原の戦いの前年、柳川城の二の丸を出て


では一文で𝟐種類登場する。前は外字を示す記号、後ろは漢数字の二。

慶長四年春、〓千代姫宮永村の新館ニ移ル。御夫婦御不和ノ故ナリ

 前は外字を示す記号、後ろは片仮名のニ。しかるべき読解力があればある程度想像は可能だが、読み間違えを繰り返したとしても、学習障碍ではない。


 読み方の違いといえば、先日

正月さん、百千万億さん、浮気さん…「スゴい名字」の家に生まれて


という記事を読んだのだが、その中にあった

ルーツは和歌山県の高野山の奥、奈良県との県境付近にある地名です。江戸時代には上筒香村・中筒香村・下筒香村の3つにわかれ、現在もそれぞれ伊都郡高野町の大字として残っています。


 江戸時代がどうだったのかは未確認だが、現在の和歌山県北部伊都郡高野甼の上筒香・中筒香・下筒香は[つつごう]ではなく[つつが]ではないかと思う。

 ちなみに高野甼には神谷という地名も在るが、ここは西日本であるにも関わらず[かみたに]ではなく[かみや]と読む。せっかくなので三重県および近畿地方以西の「谷」がつく現住所で[たに]と読まないケースを抽出してみたが、全体としては少数例外であるものの、意外と多かった。東日本で[たに]と読む例外よりもずっと多いんじゃないかと思う。理由は不明。森岡さん教えてください(笑)

 以下、いつもどおり甼⇒[チョウ]、町⇒[マチ]、村⇒[ムラ]、邨⇒[ソン]で書き分ける。「𡥜」は「字」と同字で[あざ]。「𠨮」は「側」と同字で[がわ]。個人的に便宜上書き換えているだけ。また、間に長ったらしい地方分類が入ってるが編集がめんどうなので削らなかった。気にしないで行頭と行末だけ読めば問題ない。階層化や学習障碍といった情報処理の話とも関連するのでまたこれは使おう。

[やつ]と読むケース
おやつ 熊本県熊本部上益城域上益城郡益城町小谷
やつじ 高知県中部高知中央域土佐市谷地
やつ 山口県東部岩国域岩国市大𡥜玖珂町小𡥜谷津


[がい][がえ]と読むケース。[やつ|やち]の転訛だろうからこれも東日本系と思われる。
くまがい 福岡県北九州部北九州遠賀域北九州市小倉北区熊谷
ひゅうがい 愛媛県南豫部南域北宇和郡鬼北甼日向谷
あさがいめん 長崎県北部平戸松浦域松浦市福島甼浅谷免
かたらがい 島根県西部大田邑智域邑智郡美郷甼櫨谷
すがい 和歌山県北部紀中域有田市宮原甼須谷
しんがえごう 長崎県北部佐世保東彼杵域東彼杵郡川棚甼新谷郷


[や]と読むケース。[やつ|やち]の省略形?
いたや 宮崎県山沿北部椎葉美郷域児湯郡西米良邨板谷
くまや 宮崎県平野南部日南串間域日南市隈谷
つぼや 宮崎県平野北部延岡日向域日向市東郷甼坪谷
たけや 大分県中部臼杵市岳谷
いわや 大分県中部杵築市岩谷
かなや 大分県中部大分市大𡥜宮河内小𡥜金谷
かなやざこ 大分県中部大分市金谷迫
つるやまち 大分県南部佐伯市域佐伯市鶴谷町
かなや 大分県北部中津市金谷
ふるかなや 大分県北部中津市古金谷
かなやまち 大分県北部豊後高田市金谷町
はけのみや 熊本県熊本部熊本市域熊本市北区八景水谷
むぎやふれ 長崎県壱岐対馬部壱岐域壱岐市郷ノ浦甼麦谷触
がや 長崎県壱岐対馬部下対馬域対馬市美津島町賀谷
たちや 長崎県五島部下五島域五島市玉之浦町立谷
かなやまち 長崎県南部諫早大村域諫早市金谷町
なおや 長崎県北部佐世保東彼杵域佐世保市吉井甼直谷
いわやぐち 長崎県北部佐世保東彼杵域佐世保市世知原甼岩谷口
どやめん 長崎県北部平戸松浦域松浦市福島甼土谷免
いとやちょう 長崎県北部平戸松浦域平戸市猪渡谷甼
いわや 佐賀県北部伊万里域伊万里市大川内甼大𡥜甲小𡥜岩谷
にしはちやがらみ 佐賀県北部伊万里域伊万里市二里甼大𡥜八谷搦小𡥜西八谷搦
ひがしはちやがらみ 佐賀県北部伊万里域伊万里市二里甼大𡥜八谷搦小𡥜東八谷搦
はちやがらみ 佐賀県北部伊万里域伊万里市二里甼八谷搦
ももがや 高知県中部嶺北域土佐郡大川村船戸桃ヶ谷
いわや 愛媛県中豫部伊予郡砥部甼岩谷
いわやぐち 愛媛県中豫部伊予郡砥部甼岩谷口
こや 愛媛県東豫部西域今治市古谷
にや 愛媛県東豫部西域今治市新谷
まちや 愛媛県東豫部西域今治市町谷
ゆやぐち 愛媛県東豫部東域西条市丹原甼湯谷口
いわや 愛媛県南豫部南域北宇和郡鬼北甼岩谷
こかじやばな 愛媛県南豫部北域西宇和郡伊方甼大佐田小梶谷鼻
かじやばな 愛媛県南豫部北域西宇和郡伊方甼名取梶谷鼻
にいや 愛媛県南豫部北域大洲市新谷
すみや 香川県高松部高松市塩江甼安原下炭谷
こうやばな 香川県西讃部三豊市詫間甼詫間高谷鼻
にしいややまむら 徳島県北部三好域三好市西祖谷山村
ひがしいや 徳島県北部三好域三好市東祖谷
しもがや 徳島県南部阿南域阿南市柳島甼霜ケ谷
おいや 徳島県北部三好域三好市小祖谷
いやおんせん 徳島県北部三好域三好市池田甼大𡥜松尾小𡥜祖谷温泉
しょうや 山口県西部下関域下関市勝谷
まえしょうやちょう 山口県西部下関域下関市前勝谷甼
ひがししょうや 山口県西部下関域下関市東勝谷
うしのやまち 山口県東部岩国域岩国市牛野谷町
ゆや 山口県北部長門域長門市油谷
くまがやちょう 山口県北部萩美祢域萩市熊谷甼
ひろたがや 広島県南部広島呉域呉市広多賀谷
みつやひがしまち 三重県北中部北域四日市市三つ谷東町
みつやちょう 三重県北中部北域四日市市三つ谷甼
ふかやちょう 三重県北中部北域桑名市深谷甼
かみふかやべ 三重県北中部北域桑名市上深谷部
しもふかやべ 三重県北中部北域桑名市下深谷部
たきや 三重県南部紀勢東紀州域多気郡大台甼滝谷
しおやちょう 広島県南部広島呉域呉市天応塩谷甼
たかや 岡山県南部岡山域加賀郡吉備中央甼高谷
かなや 岡山県北部新見域新見市金谷
なかや 岡山県北部真庭域真庭郡新庄邨中谷
ひじや 岡山県北部真庭域真庭市小童谷
あおやちょう 鳥取県東部鳥取域鳥取市北𠨮青谷甼
あおや 鳥取県東部鳥取域鳥取市北𠨮青谷甼青谷
よどやちょう 鳥取県中西部倉吉域倉吉市余戸谷甼
かみや 和歌山県北部紀北域伊都郡高野甼大𡥜西郷小𡥜神谷
かちや 和歌山県北部紀北域海草郡紀美野甼勝谷
しもにゅうや 和歌山県北部紀北域紀の川市下丹生谷
かみにゅうや 和歌山県北部紀北域紀の川市上丹生谷
かなや 和歌山県北部紀北域和歌山市金谷
くでがやちょう 兵庫県南部阪神域西宮市久出ヶ谷甼
たけやちょう 兵庫県南部阪神域尼崎市竹谷甼
みなみたけやちょう 兵庫県南部阪神域尼崎市南竹谷甼
きたたけやちょう 兵庫県南部阪神域尼崎市北竹谷甼
かすやしんまち 兵庫県南部播磨南西域姫路市飾磨区粕谷新町
たやちょう 兵庫県南部播磨南東域加西市田谷甼
たや 兵庫県南部播磨南東域三木市吉川甼田谷
かなや 兵庫県南部播磨北西域宍粟市山崎甼金谷
おくがなや 兵庫県北部但馬南域朝来市生野甼奥銀谷
くちがなや 兵庫県北部但馬南域朝来市生野甼口銀谷
ろくや 京都府南部京都亀岡域亀岡市ひえ田野甼鹿谷
ゆや 京都府南部京都亀岡域亀岡市東別院甼湯谷
かみや  京都府南部山城中域京田辺市大𡥜河原小𡥜神谷
おおやごし  京都府南部山城中域京田辺市大𡥜打田小𡥜大谷越
よつや 京都府南部南丹京丹波域南丹市日吉甼四ツ谷
かなや 京都府北部丹後域京丹後市久美浜甼金谷
よつやちょう 京都府南部京都亀岡域京都市南区上鳥羽塔の森四つ谷甼
よつやいけ 京都府南部京都亀岡域京都市伏見区向島四つ谷池
ふかくさたやちょう 京都府南部京都亀岡域京都市伏見区深草田谷甼
みなみみつやちょう 滋賀県北部湖東域彦根市南三ツ谷甼



[せ]と読むケース。これは長谷という形でしか使われず、元々は泊瀨[はつせ]なので谷とは関係無いが、一応。[ながたに]と読む場合は含めていない。
はせ 大分県南部佐伯市域佐伯市長谷
はせやま 福岡県筑後部北域朝倉市長谷山
はせ 福岡県筑豊部鞍手郡鞍手町長谷
くろはぜ 徳島県北部三好域三好郡東みよし甼毛田黒長谷
さいはぜ 徳島県北部三好域三好市井川甼才長谷
こばせ 徳島県北部美馬北阿北域美馬郡つるぎ甼大𡥜貞光小𡥜小長谷
おばせ 徳島県北部美馬北阿北域美馬市美馬甼小長谷
はせばちょう 三重県北中部中域津市片田長谷場甼
はせちょう 三重県北中部中域津市片田長谷甼
はせ 三重県北中部中域多気郡多気甼長谷
はせうち 岡山県北部勝英域美作市長谷内
はせ 鳥取県東部鳥取域鳥取市北𠨮長谷
はせがわ 和歌山県北部紀中域有田郡有田川甼長谷川
はせみや 和歌山県北部紀北域海草郡紀美野甼長谷宮
はせがわら 兵庫県南部淡路島域淡路市大𡥜生穂小𡥜長谷川原
はせ 兵庫県南部播磨北西域神崎郡神河甼長谷
はせおり  京都府南部山城中域京田辺市大𡥜大住小𡥜長谷折
はせちょう 京都府南部京都亀岡域京都市上京区長谷甼
おおきたやまはせちょう 京都府南部京都亀岡域京都市北区大北山長谷甼


沖縄のケース。ここは特殊で[タン]と読むのが多いが、本州にも[タン]がある。[タニ]が転訛したものだろうが、沖縄の場合はどちらが先なのか私は知らない。
たんちゃ 沖縄県本島方面北部名護域国頭郡本部甼谷茶
よみたんそん 沖縄県本島方面中南部中域中頭郡読谷邨
ちゃたんちょう 沖縄県本島方面中南部中域中頭郡北谷甼
たんちゃ 沖縄県本島方面北部恩納金武域国頭郡恩納邨谷茶
おこく 沖縄県本島方面中南部南域南城市佐敷小谷
あだにや 沖縄県本島方面中南部中域中頭郡北中城邨安谷屋


 小谷は今回調べたなかでは唯一の音読み[コク]の事例。

たんのうら 徳島県南部阿南域阿南市椿甼谷ノ浦
たんど 島根県西部大田邑智域邑智郡川本町谷戸
たんだ 京都府北部福知山域福知山市大𡥜印内小𡥜谷田
しつたんちょう 京都府南部京都亀岡域京都市右京区京北室谷甼


オマケで例外の例外。青谷は[アオヤ]。
あこうだに 鳥取県東部鳥取域鳥取市北𠨮青谷甼青谷赤尾谷
たわらだに 鳥取県東部鳥取域鳥取市北𠨮青谷甼田原谷
つゆだに 鳥取県東部鳥取域鳥取市北𠨮青谷甼露谷


[コク]の省略と思われる特殊事例。
かんこぼこちょう 京都府南部京都亀岡域京都市下京区函谷鉾甼


[タニ]の省略であろう特殊事例。
むそた 和歌山県北部紀北域和歌山市六十谷


 谷が𝟔𝟎もあるのかと思えば、元の表記は墓󠄂所󠄃谷で、近くに遺体が土から見えて野ざらしにされても鳥や獣に食べられない不思議な谷があったことが語源らしく、今も墓ノ谷と呼ばれる墓場がある。それより興味深いのは呉音の[ム]という発音。[m][b][mb]というのは関連がある。また話題にするかも知れない。
posted by Marimó Castellanouveau-Tabasco at 23:58| 情報処理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする