2017年11月06日

監督や作曲家に集中される業績

『関ジャム 完全燃𝐒𝐇𝐎𝐖』という番組で映画音楽の特集がされていた。

 ジョン・タウナー・ウィリアムズを始め様々な作曲家と代表的な映画音楽が紹介され、そのヒットの秘訣や凄さも解説されていたが、芸術系の解説でよく出て来る情報処理上の留意点として都合の良い話でもあったので簡単に触れておく。

 例えば映画❝𝐓𝐇𝐄 𝐓𝐄𝐑𝐌𝐈𝐍𝐀𝐓𝐎𝐑﹝ターミネーター﹞❞のテーマも紹介され、𝟓拍子のリズムが特徴的となっていた。源流は𝐓𝐕ドラマとして作られた❝𝐌𝐢𝐬𝐬𝐢𝐨𝐧ː 𝐈𝐦𝐩𝐨𝐬𝐬𝐢𝐛𝐥𝐞﹝ミッション・インポッシブル﹞❞にあるようだが、それはともかく、『ターミネーター』のテーマの原曲を聴くと、例の♪ダダン・ダン・ダダンというリズムは使われていない。♪ダダン・ダダン・ダダンという電車のような音が続いてるだけ。



 他の国はどうか知らないが、日本で『ターミネーター』のリズムが引用される時は普通こちらだろう。



 ❝𝐓𝐞𝐫𝐦𝐢𝐧𝐚𝐭𝐨𝐫 𝟐 𝐉𝐮𝐝𝐠𝐦𝐞𝐧𝐭 𝐃𝐚𝐲 ﹝ターミネーター𝟐﹞❞。そして中盤にもリズムは出ては来るが目立たない。耳に残っている人が思い浮かべるのは𝟐分半のうち𝟐分過ぎてからのものかと思う。
 両作の𝐁𝐆𝐌全体を聴いたことが無いので他のトラックでどの程度繰り返されているのかは知らないが、聴衆が印象に残しているとしたら、それは曲そのものというよりは曲のこの部分を強調して使用した選曲担当者やその系統の監督の功績なのでは?と思ったりする。総監督がどこまで関わっているのかはよくわからない。作曲家もどの程度意図していたのかよくわからない。

 私は両作ともに映画公開当時見たことはなかった。最初にみたのは𝐓𝐕で放映された時で、先に𝟐、あとで𝟏を見た。しかし特にこれらのリズムに強い印象は残さなかった。映画や映画音楽が好きな人や映画業界でどうだったのかは知らないが、日常生活の範囲では当時話題になっているという話も耳にしなかった。𝟐を見る少し前に学校の英語の授業で、意󠄃思を表す𝐰𝐢𝐥𝐥が出て来た際に先生が❝𝐈❜𝐥𝐥 𝐛𝐞 𝐛𝐚𝐜𝐤․❞の例を出したのだが、何の話題をしているのかわからず、𝟐の放送を見た際、「先生が話をしていたのはこのことだったのか」と初めて知ったのは覚えている。しかしこの台詞は日本語吹き替えでは単に「また来る」程度だったはずで、原語版や字幕版、英語副音声などで接しないとわからなかったろう。だから日本でこの台詞は当時特に流行ってはいなかった。先生は既に英語圏では話題になっていることを知っていたのだろう。

 𝐓𝟐のリズムや台詞が強調されたのはもっとあとの𝐓𝐕での再放送の宣伝や他の番組での流󠄂用、𝟑作目公開の宣伝などで繰り返し使われてからじゃないかと感じている。

 私は映画を見る習慣がほとんど無いし、公開当時を知らない古い映画なども紹介されていたので当時の人がどこまで音楽に印象を残していたのかは知らないが、𝐓𝟐の件からも、必ずしも人々の記憶に残る形になったのが作曲家や総監督といった名前が紹介される人の意図・仕掛けだったとは言えないだろうという想像はできる。❝𝐄․𝐓․❞や❝𝐒𝐭𝐚𝐫 𝐖𝐚𝐫𝐬﹝スターウォーズ﹞❞シリーズに関しても、私は今回番組で紹介された音楽の断片は知っていた。しかしそこしか知らないし、映画そのものはほぼ見たことが無い。つまり、映画そのものはあまり関係無い、解説されていた浮遊感云々も関係無く、単に特定部分だけが耳に残りやすかった点と、繰り返しどこかしらで使われるので機会の多さから記憶している点が主因じゃないかと感じている。「フォーメーション𝐙をもう一度」で話題にした曲は多くの人には知られていないが、私は何度も遊んだので覚えている。ただそれだけだろう。

 使われ方が変わると全く連想しない人もいるだろうし、気付く人もいる。この差は音楽の聴き方・普段の関わりの量と関係するので、全く想像だにしなかったという人も気にはしなくていい。ただ、普段から音楽との関わりが強いのにそういう連想や発見が無い人は、音楽の聴き方・見方が狭いか偏っている可能性があるので、情報処理という点では気をつけた方が良い。指摘されたら難しい話ではない。しかし指摘されずに自然と気づけるかが重要になる。音楽に関心が無い人も、情報処理という点では、目立たない音楽や、音楽とさえ言えないような些細な効果音にも様々な仕掛けがなされている場合があること、関心を持っている人達がいるということは知っておいた方が良い。物事の見方がまた一つ増えることになる。『関ジャム 完全燃𝐒𝐇𝐎𝐖』はそういう情報処理の話からすれば悪くない番組だと思う。知っている人には当たり前・初歩的な話も多いが、知らない人・初心者には結構な情報量になるはず。また、自分の好きなジャンルの話はショボく感じられても、自分の知らないジャンルの話は知らないことばかりのように感じるかも知れない。この差を知っておく・感じておくことも、情報処理にとって重要になる。似たような番組は昔からあちこちの局で放送されて来たし、今後もまたどこかで出くわすかも知れないが、「明日どこかで自慢するための知識・トリビア」といった短絡的な情報源としてではなく、どういう人たちがいて、彼等はどういう目線で世界をみているのかという視点を知る・視野を広げる機会として活用してみることをお勧めする。

 ちなみに先ほどの𝐓𝟐のリズムだが、別の使い方をすると



となる。私はここで使われている事に気付くのに𝟐𝟎年ほどかかった(笑)

 最後に他の幾つか気になった点を。映画❝𝐉𝐀𝐖𝐒﹝ジョーズ﹞❞の音楽もミ・ファの連続で印象深く表現している点が絶賛されていたが、あれはアントニン・ドヴォルザークの交響曲❝𝐅𝐫𝐨𝐦 𝐭𝐡𝐞 𝐍𝐞𝐰 𝐖𝐨𝐫𝐥𝐝﹝新世界より﹞❞を思い起こすし、わりと知られた曲だと思うのだが、なぜか言及が無かった。






 それから映画『宇宙大戦争』のテーマとして作曲されたらしい



だが、映画『シン・ゴジラ』に流󠄂用されたことも強調されていたものの、元々この曲はゴジラシリーズでも自衛隊のテーマとして使われていたんじゃないかと思う。私はゴジラシリーズもほぼ見たことが無いのだが、この音楽については友達が口ずさんでいたか何かで、そのように教えてもらった。『宇宙大戦争』とは言わなかった。

 特定人物の業績として集約されることは芸術評論や歴史解説ではしばしばあるので、情報処理上、注意が必要となる。
posted by Marimó Castellanouveau-Tabasco at 00:00| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする