パワーワード

　ツイッターでたまに流（なが）れてくる記事（きじ）に「ガンダムパワーワード」というものがある。

ガンダムパワーワード

　要はガンダム名言（めいげん）集のようなものなのだろうと以前（いぜん）一覧（いちらん）してみた事（こと）があるが、ほとんどの台詞（せりふ）は場面（ばめん）が記憶（きおく）にあるものの、「これのどこが名言（めいげん）？」と感（かん）じるものだったり、ネット上（うえ）でしばしば使（つか）われるガンダム作品（さくひん）由来（ゆらい）の言葉（ことば）はそれほど多（おお）くないといった不思議（ふしぎ）もある。そもそも「パワーワード」という言葉（ことば）自体（じたい）初耳（はつみみ）。力強（ちからづよ）い言葉（ことば）という意味（いみ）合いで使（つか）っているのだろうか？と考（かんが）えていた。

　その後（ご）、この「パワーワード」というのはこの企画（きかく）独自（どくじ）のものではなく、一部（いちぶ）で使（つか）われているらしい事（こと）を知る。先日（せんじつ）再（ふたた）び「ガンダムパワーワード」の新着（しんちゃく）が来（き）たので、どういう意味（いみ）で使（つか）われているのかウェブ辞書（じしょ）を引いてみた。

パワーワード

何かしら強（つよ）い印象（いんしょう）を与える言葉（ことば）、強烈（きょうれつ）な表現（ひょうげん）、インパクトのある表現（ひょうげん）を指す言（い）い方。肯定（こうてい）的（てき）な意味（いみ）で用（もち）いられることもあれば否定（ひてい）的（てき）な意味（いみ）で用（もち）いられることもある。人口（じんこう）に膾炙（かいしゃ）している（流行（りゅうこう）語である）か否（いな）かに関（かか）わらず、多分（たぶん）に主観（しゅかん）的（てき）な感想（かんそう）に基づく評価（ひょうか）として用（もち）いられる。

　要（よう）するに「個人（こじん）的（てき）に印象（いんしょう）に残（のこ）った言葉（ことば）」という事（こと）らしい。𝟐𝟎𝟏𝟕（にせんじゅうしち）年﹦平成（へいせい）𝟐𝟗（にじゅうきゅう）年の新語（しんご）として紹介（しょうかい）されていた。どこでどう流行（はや）ったのかは知らないが、ウィキペディアにはまだ項目（こうもく）が立っていない。英語（えいご）𝐩𝐨𝐰𝐞𝐫（パワー） 𝐰𝐨𝐫𝐝𝐬（ワーズ）とも紹介（しょうかい）されていたが、英語（えいご）版の𝐖𝐢𝐤𝐢𝐩𝐞𝐝𝐢𝐚（ウィキペディア）にも項目（こうもく）は無（な）かった。𝐏𝐨𝐰𝐞𝐫（パワー）𝐖𝐨𝐫𝐝（ワード）という中国語（ちゅうごくご）の電子（でんし）機器（きき）向（むか）け単語（たんご）集のようなものは紹介（しょうかい）されていたが。

　あくまで「個人（こじん）的（てき）に」という事（こと）なら「ガンダムパワーワード」は一体（いったい）誰（だれ）の主観（しゅかん）なんだ？とはなる。各記事（きじ）には解説（かいせつ）が付いているのでそれを読（よ）むと、編集（へんしゅう）部が書（か）いている事（こと）が判（わか）るので、編集（へんしゅう）部の主観（しゅかん）という事（こと）なのだろう。「それって日記（にっき）の表題（ひょうだい）集じゃないのか？」とも思（おも）えてしまう。

　万人（ばんにん）に常識（じょうしき）として通用（つうよう）する、知らないと教養（きょうよう）不足（ぶそく）扱（あつか）いにすらなりうるものなら既（すで）にいろいろある。

格言（かくげん）

短（みじか）い言葉（ことば）で，人生（じんせい）の真理（しんり）や処世術（しょせいじゅつ）などを述べ，教えや戒（いまし）めとした言葉（ことば）。「石の上（うえ）にも三年」「沈黙（ちんもく）は金（きん）」など。金言（きんげん）。

　英語（えいご）だと𝐩𝐫𝐨𝐯𝐞𝐫𝐛（プロヴァーブ）とある。

故事（こじ）成語（せいご）

故事（こじ）に基づいてできた言葉（ことば）。中国（ちゅうごく）の故事（こじ）に由来（ゆらい）するものが多（おお）い。「矛盾（むじゅん）」「画竜点睛（がりょうてんせい）」「虎（とら）の威（い）を借（か）る狐（きつね）」の類（たぐい）。成句（せいく）。

　英語（えいご）だと𝐡𝐢𝐬𝐭𝐨𝐫𝐢𝐜𝐚𝐥（ヒストリカル） 𝐚𝐥𝐥𝐮𝐬𝐢𝐨𝐧（アリュージャン）とある。

座右（ざゆう）の銘

常に自分（じぶん）の心（こころ）にとめておいて，戒（いまし）めや励（はげ））ましとする格言（かくげん）。座右（ざゆう）の銘（めい）。

　類似（るいじ）語は人生訓（じんせいくん）；モットー；スローガン。英語（えいご）だと𝐟𝐚𝐯𝐨𝐫𝐢𝐭𝐞（フェイヴァリット） 𝐦𝐨𝐭𝐭𝐨（モットー）とある。

　余談（よだん）だが私（わたし）が「スローガン」という言葉（ことば）を知ったのは小学校（しょうがっこう）高学年（こうがくねん）のころ、塾（じゅく）の建物（たてもの）の入口（いりぐち）に「今週（こんしゅう）のスローガン」と書（か）かれた紙が貼（は）ってあった事（こと）が発端（ほったん）だが、当時（とうじ）「スローガンってどういう意味（いみ）なんだろう？」という事（こと）が気になっていた。スローガンの意味（いみ）を知らない人（ひと）にスローガンと銘打（めいう）って紹介（しょうかい）してもあまり伝わらない(笑)

諺

昔（むかし）から人々（ひとびと）の間（あいだ）で言（い）いならわされた、風刺（ふうし）・教訓（きょうくん）・知識（ちしき）・興趣（きょうしゅ）などをもった簡潔（かんけつ）な言葉（ことば）。「ごまめの歯ぎしり」「朱（しゅ）に交われば赤くなる」「出（で）る杭（くい）は打たれる」「東男（あずまおとこ）に京女（きょうおんな）」などの類（たぐい）。

　英語（えいご）だと𝐬𝐞𝐭（セット） 𝐩𝐡𝐫𝐚𝐬𝐞（フレイズ）とか𝐩𝐫𝐨𝐯𝐞𝐫𝐛（プロヴァーブ）とか𝐦𝐚𝐱𝐢𝐦（マキシム）とか𝐚（ア） 𝐜𝐨𝐦𝐦𝐨𝐧（コモン） 𝐬𝐚𝐲𝐢𝐧𝐠（セイング）らしい。

慣用句（かんようく）

① 二語以上（いじょう）が結合（けつごう）し、その全体（ぜんたい）が一（ひと）つの意味（いみ）を表すようになって固定（こてい）したもの。「道草（みちくさ）を食う」「耳にたこができる」の類（たぐい）。慣用語（かんようご）。イディオム。
② 二語以上（いじょう）が、きまった結びつきしかしない表現（ひょうげん）。「間髪（かんはつ）を入れず」「悦（えつ）に入（い）る」の類（たぐい）。慣用語（かんようご）。イディオム。

　英語（えいご）はそこにあるように𝐢𝐝𝐢𝐨𝐦（イディオム）。𝐦を𝐭に入れ替えるだけで全（まった）く意味（いみ）が変（か）わってしまう。

名言（めいげん）

ことの道理（どうり）をうまく表現（ひょうげん）した言葉（ことば）。名句（めいく）。 「 －を吐く」

　英語（えいご）だと𝐰𝐢𝐬𝐞（ワイズ） 𝐬𝐚𝐲𝐢𝐧𝐠（セイング）とか𝐟𝐚𝐦𝐨𝐮𝐬（フェイマス） 𝐬𝐚𝐲𝐢𝐧𝐠（セイング）とあった。

　やはり個人（こじん）的（てき）なものというのがパワーワードの特徴（とくちょう）なのだなと改めて感（かん）じる。記事（きじ）の解説（かいせつ）では「ここがポジティブ！」とあるので、引き合いに出（だ）した台詞（せりふ）から何（なに）かしら前向（まえむ）きな意味（いみ）に解釈（かいしゃく）しようという意図（いと）は感（かん）じられるが、前後（ぜんご）の流（なが）れを知っているか解説（かいせつ）されないと言葉（ことば）単独（たんどく）では何（なに）も感（かん）じないし、解釈（かいしゃく）も強引（ごういん）に思（おも）えなくはない。最初（さいしょ）に引（ひ）っ張（ぱ）った定義（ていぎ）では否定（ひてい）的（てき）な意味（いみ）でも使（つか）われるらしいので、積極（せっきょく）的（てき）な結論（けつろん）を前提（ぜんてい）に情報（じょうほう）を貼（は）り付ける報導（ほうどう）になりかねない危険（きけん）性もはらむ気はする。常に他人（たにん）から名言（めいげん）やら感動（かんどう）やら勇気（ゆうき）やらをもらい続（つづ）けていないといけない名言（めいげん）乞食（こじき）とか感動（かんどう）乞食（こじき）やら勇気（ゆうき）乞食（こじき）みたいな風潮（ふうちょう）があるらしいのは近年（きんねん）テレヴィで情緒（じょうちょ）的（てき）な演出（えんしゅつ）や言葉（ことば）が多（おお）いことでも感（かん）じる。その一（ひと）つの流（なが）れなのかも知れない。本を読（よ）まない人（ひと）が増えている事（こと）とも関係（かんけい）あるのだろうか？

　パワーワードの実用例（じつようれい）が個人（こじん）的（てき）に乏しいのでその話はいずれまたある程度（ていど）体験（たいけん）が貯まってからにするが、ガンダムに限れば割と作品（さくひん）は観ている割に特段（とくだん）「名言（めいげん）」として感動（かんどう）したり印象（いんしょう）に残（のこ）している台詞（せりふ）が無（な）い。他人（たにん）が使（つか）っている部分（ぶぶん）がどの場面（ばめん）か判（わか）る事（こと）は多（おお）いが、初めて観た時（とき）にそこだけ記憶（きおく）するほどのものはなかったというのが普通（ふつう）。物心（ものごころ）つくかつかないかといったころからガンダムを観始（はじ）めていたのでそんなに長（なが）い台詞（せりふ）を暗記（あんき）したり意味深（いみしん）な言葉（ことば）に注目（ちゅうもく）したりといった年齢（ねんれい）じゃなかったからかも知れない。ゲームやネットと関係（かんけい）が強（つよ）い世代（せだい）でもないので、ゲームでの台詞（せりふ）の連呼（れんこ）を耳にする機会（きかい）がほとんど無（な）かった、ネットでガンダム関係（かんけい）を探ったり交流（こうりゅう）をしたりする機会（きかい）が無（な）かった事（こと）も関係（かんけい）している。それでも、また機会（きかい）があれば話題（わだい）にするが、ギレンの演説（えんぜつ）に対する感（かん）じ方は小学生（しょうがくせい）時点（じてん）でも既（すで）に一部（いちぶ）ガンダムファンの感動（かんどう）の仕方（しかた）とは違（ちが）い大人（おとな）になってから違和（いわ）感を覚えたし、一昨年（いっさくねん）だったか放送（ほうそう）されていた『機動（きどう）戦士（せんし）ガンダム 鉄血のオルフェンズ』は本放送（ほんほうそう）を観ていたものの公式（こうしき）ラジオ番組（ばんぐみ）をあとから聴いて「その台詞（せりふ）に感動（かんどう）するのか～」と感心したりもしたので、物語（ものがたり）の見方（みかた）；感（かん）じ方が根本（こんぽん）的（てき）に違（ちが）う面もあるのかも知れない。

　私（わたし）がガンダム関係（かんけい）で印象（いんしょう）に残（のこ）った数少（すく）ない言葉（ことば）は他（ほか）で見かけないものもあったりするが……とりあえず今日（きょう）はここで止めるか。